コンサルのリサーチ実務どうやるの?4つのステップを実例交え解説!
「コンサルタントになるとリサーチをすると聞いたけど、どのような内容なの?」
「リサーチのレベルを高める良いやり方やコツはあるの?」
コンサルタントの業務のひとつである調査・リサーチ。コンサルタント職に興味を持つとどのような調査・リサーチをしているか気になりますよね。なんとなくイメージはつくけれど、なぜコンサルタントがリサーチを行っているか、具体的にどのような種類のリサーチ手法があるのかまでイメージできる方は少ないと思います。
リサーチは販売戦略やサービス開発戦略を検討する際に市場の声を集めたり、システム導入のベンダー選定時に各社の情報を収集する際など、多様なケースで欠かせないものとなっています。
その中でコンサルタントはアサインされる案件の目的・課題にあわせてデスクリサーチ、定性調査、定量調査の主に3種類のリサーチ手法を使い分けています。
とはいえ、デスクリサーチ、定性調査、定量調査と聞いてもピンとなくて、自分にできるかどうかと、不安に思われるかもしれません。
コンサルタントに少しでも興味があるなら、リサーチについて理解を深め、少しでも不安を解消しておくことをお勧めします。
そこで本記事では
■コンサルタントが業務で行っているリサーチの種類
■なぜコンサルタントがリサーチ業務を行うのか
■リサーチの方法とポイント
といった内容について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、リサーチの種類や方法から具体的なリサーチの事例について理解が深まっていくはずです。ぜひ、最後まで読んでお役立てください。
Table of Contents
1.コンサルタントが業務で行っているリサーチは主に3種類
コンサルタントは課題解決のための戦略を立案・提言することによって企業の成長や業績改善を支援する仕事です。
戦略策定を行うにあたり自社の課題の特定が必要ですが、そのためには市場環境(マクロ環境や消費者ニーズ)、競合情報も収集しながら行っていく必要があります。これらの情報を集める主な手法を3つ解説していきます。
1-1.デスクリサーチ
特定の市場規模・動向や生活者のトレンドなど、既に存在する調査結果、文献などをインターネットを使って情報収集する調査です。ベンダー情報や課題解決につながるサービスに関する情報を収集するケースなども、このデスクリサーチに該当します。
インタビューやアンケートなど新たに調査を実施するより手間とコストが抑えられることがメリットである半面、深みのある情報収集は難しいこともあり戦略や調査設計時の仮説構築のために使われることが多いです。
データソースはインターネット上の個人ブログやSNSの情報など有象無象のデータソースから情報を得るのではなく、日経新聞や矢野経済研究所、SPEEDAといった信頼のできる情報源のものを参考にしてリサーチをかけていくことが多いです。
1-2.定性調査
定性調査とはインタビューなどによって数値化することができない個人の気持ちや意識、行動を「言葉」で把握する調査です。
数値ではわからないユーザー心理を把握できたり、時間経過による行動や心理の推移がわかります。
例えば、「なぜ買いたいと思ったのか」「商品を使い続けている理由」など、数値化できない想いや価値観、行動背景がわかります。そのリサーチ手法の例としてデプスインタビュー※1、グループインタビュー※2などが挙げられます。
インタビューや行動観察を通して生の声や反応といった貴重な情報を直接得ることができる点も特徴です。
※1 デプスインタビューとはインタビュアーと対象者の1対1のインタビュー形式で行う定性調査手法
※2 グループインタビューとはモデレーター(司会)の進行のもと、複数の対象者(5~7名程度)がテーブルを囲み、テーマに沿って話し合うことで情報を収集する定性調査手法
1-3.定量調査
定量調査とはアンケートによって収集した調査対象者の実態や意識、評価などに関するデータを数値として分析するものです。
数値データのため説得力が高く、市場やカテゴリーの傾向を数値で把握できます。
例えば、特定の質問に【はい】と答えた人は○%、【いいえ】と答えた人は▲%といった表し方でデータを確認します。
インターネットアンケート調査で大手の会社だとマクロミル、楽天インサイト、インテージなどが挙げられますが、1度や2度ネットのアンケートに回答した経験を持つ方も多いかと思います。
データの集計がしやすい点や結果に対して共通認識を持ちやすく解釈がしやすいことも定量調査の特徴です。
2.顧客の課題解決に向けた支援活動を行う上でリサーチは必須
リサーチは顧客のニーズや課題を理解し、効果的な戦略を立案する時などに欠かせない要素です。
顧客の視点を重視し、正確な情報を基に意思決定を行うことで、より成功する可能性を高めることができます。
例えば、リサーチを行いながら以下の点について整理を行います。
これらの情報をもとに具体的な戦略やサービス、製品の改善案の立案や顧客や市場の反応を予測することができます。リサーチがおろそかになっているとせっかく考えたプランも前提条件がくずれ意味のないものとなってしまう可能性があります。
2章ではリサーチの重要性について解説してきました。では実際にどのような手順でリサーチを行っていけば良いのでしょうか。次章ではリサーチの方法とポイントについて解説していきます。
3.リサーチの方法とポイント
1章で「デスクリサーチ」「定性調査」「定量調査」の3つの手法を紹介しました。それぞれリサーチを進めていく大枠の手順は同じです。ここでは、入社後すぐにアナリストとして任されることが多い「デスクリサーチ」を例に方法と注意すべきポイントを解説していきます。
3-1.リサーチの背景・目的を確認する
リサーチを成功させるためにはリサーチの背景と目的を明確に理解することが不可欠です。
リサーチの背景と目的を理解することで本当に必要な情報に絞って効率よくリサーチを進めていくことができます。背景・目的を確認できていないと無数にある情報の中から手当たり次第に調べていくことになり、結果的に無駄な情報を収集することになります。
例えば、新商品の市場導入を検討している場合を例に挙げると
上記のように整理することで効率よく次のステップを進めることができます。
3-2.リサーチの全体像・手順を設計する
次にリサーチの全体像と具体的な手段を設計します。リサーチの全体的な計画を立てることでデータの収集方法や情報源、調査にかかるスケジュールを明確にすることができます。これにより偏った情報源によるリサーチや情報の抜け漏れを防ぐことができ、網羅的に情報収集が可能になります。
また、集める情報が目的を達成できるような構成になっているか、も確認すべきです。集めた情報が1つのストーリーになり、結論に繋げるかどうかを全体像を考えながら設計します。どのような情報になるか事前に仮説をたてておくことも重要です。
3-3.リサーチの実行
設計したリサーチ計画に基づき、データの収集と情報の整理を行います。その後の分析やアウトプット作成に繋げるために欠かせないステップです。正確かつ適切なデータを収集することで、信頼性のある結論を導き出すことができます。
調べたい内容にもよりますが、ある市場(商品)のトレンド、トピックス、今後の展望・・・、などを調べる場合は、以下の表の①から順に調べていきます。
3-4.アウトプット・示唆の導出
リサーチ結果を明確な形で整理し、洞察に基づいた示唆をまとめることで、リサーチの成果を最大限に活用できます。
リサーチ結果はただ情報を集めるだけでなく、組織内での意思決定や戦略策定に活かすために必要です。アウトプットの整理と示唆の提供により、収集した情報が具体的なアクションにつながるようになります。
アウトプットについては4章のデスクリサーチの具体例を参考にしてください。
4.デスクリサーチの具体例
ここでは本記事を監修するコンサルティング会社Rally Growthのコンサルタントが、物流業界のクライアントからTMS(輸配送管理システム)のリサーチを依頼されたという想定で、デスクトップリサーチを行った事例をご紹介します。
4-1.リサーチの前提整理
まず先ほどご紹介した枠組みでリサーチの前提を整理すると以下のような形になります。
4-2.リサーチの作業手順
上記のように背景、目的などを整理した後、リサーチの全体像・手順を設計したうえで、以下のステップ・参考情報をもとにリサーチを行いました。
- 物流業界が抱える課題とTMSが注目される背景の調査
- 経済産業省や国土交通省の報告資料
- 日本ロジスティクスシステム協会などの公益社団法人の調査報告・統計結果
- TMSの機能、導入成功事例の調査
- システム開発会社やTMSベンダーのHP、各種資料
- 仮説に基づいて示唆出し、アウトプットの整理
4-3.具体的なアウトプット例
全てを説明することが難しいので抜粋してのご紹介になりますが、一部スライドの実例を用いてアウトプットをご紹介します。
①TMSが注目される背景
上記のスライドではTMSが他社からも注目を集めている背景を整理しています。
公益社団法人のレポートを参考にし、「年々売上高物流コスト比率が上昇している」というファクトを用いることで、「各社物流(特に輸送部分)の効率化を急いでいる」という結論・示唆を導き出しています。
②TMSの機能
上記のスライドではTMSの対象領域と基本機能を整理しています。
TMSベンダーのHPを参考にし、TMSは「さまざまな制約条件を考慮した上で、最適な輸送ルートを立案する」という機能を持っていることから、「TMSによる生産性の向上(≒配送コストの削減)が見込める」という結論・示唆を導き出しています。
いかがでしたでしょうか。具体的なアウトプットの参考事例になっていれば幸いです。
ただ、もし「自分もアウトプットが作れるようになりたい!」と思っている方がいれば、やはりコンサルティングの実業務を数多くこなすことが一番の近道です。
次章では本記事を監修する、ベンチャーコンサルのRally Growth株式会社をご紹介します。
5.コンサル業務に興味があるならRally Growth株式会社がお勧め
コンサル業界に転職がある方に向けて、このブログを運営するRally Growthを紹介します。
ミドルマーケットを中心としたDX化や新規事業構築支援を行っているRally Growthは、2021年7月に創立したスタートアップ企業です。現在のメンバーは7名ですが、事業拡大に伴い採用を強化しています。
※採用情報はこちら!
Rally Growthなら実務で経験を積みながら急成長を期待できます。それは以下のような強みがあるからです。
Rally Growthの3つの強み
- 手厚い教育体制を提供している
- コンサルタントとして成長できる環境が整っている
- 成長したいというマインドを持っているメンバーが集まっている
5-1.手厚い教育体制を提供している
ベンチャー企業というと教育体制や研修制度が不十分というイメージがある方もいると思いますが、Rally Growthではしっかり手厚い教育体制を整えています。
▲研修中の様子
入社後はまずコンサルタントに必要な考え方などの基礎教育をしっかり受け、その後はOJTとしてプロジェクトに入ります。徐々に仕事に慣れていけるため、今は自信がないという人でも安心です。
具体的には以下のような講座を通してスキルを磨いた後、プロジェクトに臨んでいく形になります。
- クリティカルシンキング講座
- パワーポイントなどのドキュメンテーション講座
- PMO講座
- 上司へのレビュー依頼講座
- リサーチ実践講座
未経験者向けの教育プログラムも豊富に用意しており、かつ大手ファーム出身者が直接教えるため、コンサルティング業界全体で通用するスキルをしっかり身につけられます。
5-2.コンサルタントとして成長できる環境が整っている
Rally Growthにはコンサルタントとして急成長できる環境が整っています。
プロジェクトに入る際は、あなたの今までの業界経験を活かして活躍が期待できる案件を選定しています。大手コンサル出身者からのサポートを受け案件をこなしながら実践的に経験を積んでいきます。
中途採用社員のうち半数はコンサル業界未経験でしたが、全ての社員が入社から数か月で現場で活躍できる力を身につけています。
5-3.成長したいというマインドを持ったメンバーが集まっている
Rally Growthには成長したいという強いマインドを持ったメンバーばかりが集まっています。2022年に入社した中途メンバーの声を紹介します。
もちろん大変なこともたくさんありますが、新しいことに挑戦でき、できるようになったことや身についたものが少なからずあるので、前向きな大変さだと思っています。
――鈴木健太さん/元物流関連企業(コンサルティング業界未経験)
プロジェクトの中で、今回はここができなかった、ここは上手くいったというトライアンドエラーを繰り返しています。自分の成長も実感しながら仕事ができるのは、Rally Growthで働いてよかったと思うところです。
――飯野薫さん/元医療ソリューション企業、マーケティングコンサルタント
このような上昇志向の強いメンバーに囲まれた環境に身を置くことで、コンサルタントとしての思考やスキルをいち早く身につけることができるでしょう。
▲コンサル志望者募集中!
向上心はあるけれど、どのようにキャリアアップしていけば良いのか悩んでいたり、スキルを発揮する環境に物足りなさを感じていたりしませんか? 是非、私たちと一度お話ししてみましょう!
※採用情報はこちら
※代表が語る、新たなメンバーに期待することや事業への思いなどはこちらからご覧ください。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。コンサルタントが実際に行っているリサーチについてお分かりいただけたかと思います。
最後に本記事で解説した内容をまとめるとポイントは以下の4つです。
(1)コンサルタントは「デスクリサーチ」「定性調査」「定量調査」の主に3種類の調査を行っている
(2)リサーチは顧客のニーズや課題を理解し、効果的な戦略を立案するために欠かせない要素である
(3)デスクリサーチを実施する場合の流れ
この記事を読んでリサーチに対する不安が少しでも解消されたようであれば何よりです。リサーチは数をこなす度にレベルが上がっていくので頑張ってください!
- この記事を書いた人