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WMSと基幹システムの違いとは?倉庫業務における機能や効果を解説

カテゴリー:logistics
公開日: / 更新日:
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wms 基幹システム

「基幹システムでの倉庫管理に限界を感じており、WMSの導入を検討している。WMSとは基幹システムと何が違うのか?」
「自社にとってWMSを導入する価値が本当にあるのか?」

WMSと基幹システムについて、このような疑問をお持ちの企業様は多いのではないでしょうか。

WMSと基幹システムの違いは、一言で言えば「WMSは倉庫管理に特化したシステム・基幹システムは企業の業務全体を管理するシステム」であることです。wms 基幹システム 違い

WMSが1つの倉庫を管理することに特化したシステムであるのに対し、基幹システムは社内全体の情報を管理します。

倉庫業務における両者の具体的な違いは、以下の表のとおりです。

倉庫業務におけるWMSと基幹システムの違い
WMS 基幹システム
管理対象の範囲


広い

倉庫内の業務・設備・商品全般


狭い

在庫の数と金額

※別拠点の在庫も含む

機能


多い

  • 入荷管理
  • 出荷管理
  • 在庫管理
  • 棚卸管理
  • マスタ管理
  • 外部連携


少ない

  • 在庫管理
  • 他の機能との連携(販売管理・生産管理など)
期待できる効果


多い

倉庫内の物の流れをデータで管理し、オペレーションを最適化する


少ない

倉庫の在庫状況を生産・販売データと一元管理し、企業全体の基幹業務を効率化する

基幹システムは企業経営の主要業務全体を広く管理するシステムであり、倉庫業務においてできることは限られています。

一方WMSは倉庫内の情報を全てデータで管理する、倉庫管理に特化したシステムで、倉庫業務全体の改善(生産性・精度の向上)が期待できます。

WMSを導入する際は、基幹システムを上位システム・WMSを下位システムとして連携させるのが一般的です。

倉庫業務の効率の悪さ・精度の低さで悩んでいるのであれば、倉庫管理のさまざまな課題を解決するWMSを導入し基幹システムと連携させることをお勧めします。

基幹システム wms 連携イメージ

本記事では、基幹システムでの倉庫管理に不満を感じWMSの導入を検討している企業様に向けて、次のような情報をわかりやすくお伝えします。

・倉庫業務におけるWMSと基幹システムの違い
・WMSとはどのようなシステムか
・WMSを導入し基幹システムと連携させるべきかどうかの判断基準
・WMSと基幹システムを連携する手順

WMSと基幹システムの違いや関係性が正しく理解できるだけではなく、貴社にとってのベストな倉庫管理像が描けるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。

1.倉庫業務におけるWMSと基幹システムの違い

wms 基幹システム 違い

まずは、倉庫業務におけるWMSと基幹システムの違いを以下の順に解説します。

・管理対象の範囲の違い
・機能の違い
・期待できる効果の違い

記事の冒頭では「WMSは倉庫管理に特化したシステム・基幹システムは倉庫に限らず企業の主要な業務全体を管理するシステム」という、システムとしてのそもそもの違いをお伝えしました。

本章では両者の具体的な違いを「倉庫業務」の視点から比較します。

1-1.管理対象の範囲の違い

WMSと基幹システムは「倉庫内の情報を管理できる」という点では共通していますが、管理対象となる情報の範囲は異なります。

それぞれの管理対象の範囲は、次のとおりです。

倉庫内におけるWMSと基幹システムの管理対象の範囲
WMS 基幹システム
倉庫内の商品・業務・設備全般

→倉庫内のあらゆるモノ・コトの動きを管理

在庫の数と価額

※別拠点の在庫も含む

→社内のモノ・カネの動きを管理

例)

【商品】

  • 在庫数
  • 商品の移動の履歴
  • 商品の状態(賞味期限など)

【業務】

  • 作業進捗
  • 工程ごとの作業工数

【設備】

  • マテハン・ロボット等の稼働状況

※設備を制御するシステムと連携して管理する

例)

  • 在庫数
  • 在庫単価
  • 在庫金額

WMSが倉庫全体のあらゆる情報をデータ化して管理するのに対し、基幹システムの管理対象は「在庫の数や価額」と限定的です。

なぜこのような違いが出るのか、それはWMSと基幹システムがシステムとして異なる役割を持っていることに起因しています。

WMSの役割は「倉庫内の業務の最適化を図ること」であり、それを達成するためには倉庫内のあらゆるモノ・コトの動きを管理しなければなりません。

対して基幹システムの役割は「企業の基幹業務全体の効率化を図ること」であり、社内のモノ・カネの動きに重点を置きます。

以上のことから、「ビジネス全体においては基幹システムの方が広い範囲の情報を管理できるが、1つの倉庫内においてはWMSよりも極めて狭い範囲の情報しか管理できない」と言えるでしょう。

1-2.機能の違い

続いて、倉庫業務におけるWMSと基幹システムの機能の違いを比較してみましょう。

倉庫業務におけるWMSと基幹システムの機能
WMS 基幹システム
  • 入荷管理
  • 出荷管理
  • 在庫管理
  • 棚卸管理
  • マスタ管理
  • 外部連携

入荷~出荷までの情報をリアルタイムで管理

  • 在庫管理

比較して分かるとおり、機能の種類はWMSの方が圧倒的に豊富です。

倉庫内のあらゆるモノ・コトが管理対象であるWMSは、商品が倉庫に入荷されて出荷までの情報をリアルタイムで管理します。

一方で、基幹システムの管理対象は在庫の数と価額であるため、倉庫業務に直接関与する機能は基本的に「在庫管理機能」のみです。

さらに、同じ在庫管理機能でも、WMSと基幹システムではできることが大きく違います。

在庫管理機能でできること
WMS 基幹システム
在庫の数・場所・状態をリアルタイムで反映

  • 在庫照会
  • ロケーション移動
  • 在庫調整
  • 廃棄処理
  • 補充
  • 履歴管理
理論在庫の変動を自動で反映

販売管理機能・生産管理機能などと連携して、在庫数の変動を自動でシステムに反映させる

基幹システムの在庫管理機能は、仕入れや受注のデータと連動して自動で在庫数を変動させるという非常にシンプルなものです。

そのため、最小限の手間で在庫管理ができる一方で、在庫データの反映にタイムラグが生じやすく、基幹システムのみで在庫管理を行うと過剰在庫や欠品のリスクがあります。

一方で、WMSは在庫の数量・ロケーション・状態といった情報をリアルタイムで把握できるため、基幹システムではカバーできない過剰在庫や欠品の防止に役立ちます。

以上のことから、倉庫業務においては機能の量・質共に基幹システムよりもWMSの方が優れていると言えます。

1-3.期待できる効果の違い

WMSと基幹システムを導入した場合、倉庫にどのような変化をもたらすのか、期待できる効果の違いを比較してみましょう。

倉庫業務におけるWMSと基幹システムの期待できる効果の違い
WMS 基幹システム
倉庫内のモノ・コトの流れをデータで管理し、倉庫内のオペレーションを最適化する

例)

  • 入荷・出荷・在庫管理・棚卸業務の効率化
  • 欠品・過剰在庫・ピッキングミス等の防止
  • 保管効率の向上

→倉庫業務のさまざまな課題を解決する

倉庫の在庫状況を生産・販売データと一元管理し、企業の基幹業務全体を効率化する

→倉庫への直接的な効果はあまり期待できない

基幹システムでの倉庫管理は、その他の機能と連携させて企業の基幹業務全体を効率化させることを目的としているため、倉庫への直接的な効果はあまり期待できません。

Excelや手書きで倉庫管理をしている場合と比べれば「在庫管理業務が自動化できる」という効果がありますが、その精度は決して高くはないため、やはり直接的な効果は薄いと言えるでしょう。

倉庫管理に特化したWMSにおいては、これまで人の手・人の目で行っていた入荷~出荷までの業務の一部を自動化できるため、人手不足や人為的ミスの多さなど倉庫業務のさまざまな課題解決が期待できます。

倉庫業務においては、管理対象となる情報の範囲が広く機能も豊富なWMSの方が、基幹システムよりも期待できる効果も大きいと言えるでしょう。

1-4.【結論】基幹システムでの倉庫管理に限界を感じたらWMSの導入が必要

ここまで倉庫業務におけるWMSと基幹システムの違いを

・管理対象の範囲の違い
・機能の違い
・期待できる効果の違い

の3点から比較してきましたが、「基幹システムでの倉庫管理に限界を感じたらWMSの導入が必要」というのが本章の結論です。

基幹システムは在庫管理機能等が倉庫業務に活用できるものの、倉庫管理に特化したシステムではありません。

そのため、多くの倉庫現場が抱えている人手不足や人為的ミスの多発といった課題は、基幹システムだけでは解決できないというのが実情です。

そこで、基幹システムでは解決できない倉庫現場の課題を解決するために導入するのがWMSです。

WMSが解決できる倉庫現場の課題
人手不足

→倉庫業務の一部を自動化させることにより、少ない人手で現場が回せるようになる

人為的ミスが多い

→人の目や手で行う業務を減らすことでミスの予防・削減につながる

商品の種類が多く管理が煩雑になりやすい

→入荷時にWMSへ商品の細かい情報を登録しておけば、「何が」「どこに」「どれだけ」保管されているかを瞬時に把握できる

作業員の人数が多い・入れ替わりが激しい

→WMSで業務を標準化させることより、ポジションを固定しなくても一定の水準で作業できるようになる

スタッフによってスキル・知識の差が激しい

→WMSで業務を標準化させることより、ベテランスタッフに頼りきりなどの属人化が解消できる

現状で倉庫業務に課題がある企業の場合、基幹システムだけでは機能が足りていない可能性があります。

基幹システムでの倉庫管理に限界を感じているのであれば、WMSを導入する必要があると言えるでしょう。

2.WMSとは?基幹システムとの違い・関係性を照らし合わせながら解説

wms とは

続いては、WMSとはどのようなものなのかを、基幹システムとの違い・関係性を照らし合わせながら詳しく解説します。

・WMSとは倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと
・WMSの機能
・WMSの導入にかかるコスト
・WMSを導入するメリット・デメリット
・WMSは基幹システムと連携させて使うのが一般的

前章でWMSと基幹システムの違いを知り、WMS導入に少しでも前向きになられた場合は、本章でWMSがどのようなシステムなのかをより深く捉えていきましょう。

2-1.WMSとは倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと

WMSとは、「Warehouse Management System(倉庫管理システム)」の略称で、倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのことを指します。

wms とは

倉庫に商品が入荷されてから出荷されるまで、「何が・どこに・どれだけ・どのような状態であるのか」をデータ化し、その情報をバーコードやハンディターミナルなどで管理します。

具体的には、以下のような方法で倉庫内の物の流れを追跡します。

WMSによって商品の情報を管理する例
  • 入荷時に商品の情報をハンディターミナルでスキャンして登録・倉庫に格納
  • 在庫の保管場所を移動させた場合、位置情報が反映される
  • 出荷指示が入ったら、商品の情報を呼び出しピッキング

WMSを導入し倉庫内の物の流れをデータ化すれば、これまで目視や手書きで行っていた業務が自動化され、倉庫業務の効率化や人為的ミスの防止が期待できます。

さらに、リアルタイムな在庫情報が常に追えるようになるため、欠品や過剰在庫といったアナログな在庫管理に起こりがちなトラブルが回避できるのも大きな特徴です。

企業の主要業務全体を広く浅く管理する基幹システムでは、どれだけ自社専用にカスタマイズを加えたとしても、ここまで細やかな倉庫管理をすることは不可能でしょう。

このように、WMSとは倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化してくれる、倉庫管理に特化したシステムです。

2-2.WMSは基幹システムと連携させて使うのが一般的

倉庫管理に使うシステムを基幹システムからWMSに切り替える場合、両者を切り離さず連携させて使うのが一般的です。

基幹システム wms 連携イメージ 例

これまで基幹システムで管理していたマスタ情報(商品の品目・取引先の住所など)をWMSに読み込ませ、WMSが受け取ったマスタ情報を元に入出荷や在庫管理業務を行えば、それぞれのシステムを単独で稼働させるよりも業務効率が高くなります。

さらに注目すべきは、WMSは基幹システム以外にも様々なシステム・設備との連携が可能という点です。

wms 設備連携イメージ

WMSを拠点に、自社のビジネス内容に合ったシステムや設備を組み合わせ連携させれば、「効率・精度全てが最適化された唯一無二の倉庫」の実現も夢ではありません。

2-3.WMSの機能

WMSの機能を一言でお伝えすると、前述したとおり「倉庫内の物の流れをデータで管理すること」ですが、具体的には次のような機能が搭載されているのが一般的です。

WMSの一般的な機能
入荷管理

仕入先や工場など、外部から倉庫へ入ってくる物を管理する機能

【効果】

倉庫に入荷した商品の情報を読み取り、棚の位置情報と紐づけて格納することで、入荷作業の時間短縮・ミス防止を図る

【詳細機能の例】

  • 入荷予定情報の取り込み
  • 入荷予定リストの発行
  • 入荷実績の入力
  • ラベル発行
  • 入荷検品
  • 格納
在庫管理

在庫のリアルタイムな情報を管理する機能

※在庫管理機能が搭載されている基幹システムもあるが、機能の豊富さ・精度の高さ共にWMSの方が優れていると言える

【効果】

倉庫内にある物の動き・状態をデータ登録して可視化することで、過剰在庫や欠品などのトラブルを最小限に抑える

【詳細機能の例】

  • 在庫照会
  • ロケーション移動
  • 在庫調整
  • 廃棄処理
  • 補充
  • 履歴管理
出荷管理

取引先や顧客から注文を受けた商品が正しく出荷・納品が行われているかを管理する機能

【効果】

出荷指示書の出力・ピッキングルートの生成・出荷商品の整合性確認といった業務を半自動化することで、出荷作業の工数を最小化・ピッキングミスや誤出荷などの防止を図る

【詳細機能の例】

  • 出荷依頼情報(出荷指示)の取り込み
  • 在庫引当/作業単位作成
  • ピッキングリストの発行
  • ピッキング/出荷検品
  • 梱包入力
棚卸管理

在庫のカウントや理論在庫と現物在庫の差異調整を効率化する機能

棚卸指示書の出力・在庫のカウント等を電子化することで、棚卸業務の時間短縮・現物在庫の正しい把握・カウントミスの防止を図る

【詳細機能の例】

  • 棚卸指示
  • 棚卸作業
  • 棚卸差異リスト
  • 棚卸結果報告
マスタ管理

複数のシステムに散在するさまざまな情報を「マスタデータ」として種類別に整理統合する機能

【効果】

整理統合したデータを分析し、オペレーション改善や顧客満足度向上のヒントに活用できる

※複数のシステムを連携させる場合は特に重要な機能となる

【詳細機能の例】

  • 商品マスタ
  • ロケーションマスタ
  • 取引先マスタ
  • 倉庫マスタ
外部連携

外部のシステムや機器とWMSを連携させる機能

【効果】

倉庫で稼働させているあらゆるもの(外部システムや機器)と連携することで、WMSが倉庫のすべての情報を集約する「情報拠点」となる

※先進技術を取り入れたAI・物流ロボット・マテハン等を現場で稼働させるためには、WMSとの連携が必須

【詳細機能の例】

  • 基幹システムとの連携
  • 受注管理システム(OMS)との連携
  • マテハン機器・物流ロボットとの連携

上記の機能に加え、自社の業務に合わせたオプションやカスタマイズを加えることもできます。

WMSの機能のカスタマイズ例
入荷管理機能 入荷元のASNデータを連携させ、検品レスで在庫計上できるようにする

→入荷時の作業時間が短縮

出荷管理機能 入荷した箱単位での出荷指示が発生した際、箱をそのままピッキングラベルとして有効活用したピッキングリストが出力されるようにする

→ピッキングの作業効率が向上

在庫管理機能 賞味期限管理している在庫の残日数に応じてアラートを表示する

→期限切れによる在庫の廃棄を防ぐ

WMSの倉庫内のあらゆるコト・モノをデータ化して管理する機能は、作業効率アップなど倉庫業務の改善に直接的な影響を与えます。

これは、基幹システムでの倉庫管理では決して実現し得ない導入効果だと言えるでしょう。

WMSの各機能が実際の現場でどのように役立つのか、さらに具体的にイメージしたい場合は、機能ごとのメリットや活用場面の例を多数紹介している以下の記事をご覧ください。

2-4.WMSの導入にかかるコスト

WMSの導入コストはタイプによって相場が大きく異なり、タイプ別の費用相場は以下のとおりです。

タイプ別・WMSの費用相場
タイプ※1 5年間利用した総コストの相場※2 イニシャルコスト ランニングコスト
SaaS型 1,300万円~ 100万円~

【内訳】

  • データ移行費
  • トレーニング費
月額20万円~

【内訳】

  • サービス利用料
パッケージ型 6,000万円~ 数千万円~

【内訳】

  • 開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
  • データ移行費
  • トレーニング費
A:開発費の10%程度

B:年間300万円~【内訳】A:保守作業費用
B:クラウド利用料
スクラッチ型 1億3,000万円~ 数千万~数億円

【内訳】

  • 開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
  • データ移行費
  • トレーニング費
  • サーバー購入
  • 設定作業費

※開発規模によって大きく変動する

A:開発費の10%程度

B:年間500万円~【内訳】A:保守作業費用
B:クラウド利用料

※1:WMSには大きく分けて3つのタイプがあります
・SaaS型:ベンダーが提供するシステムを月額を支払って利用するタイプ。中小企業向け
・パッケージ型:基本的な機能がパッケージ化されているタイプ。中堅~大企業向け
・スクラッチ型:自社専用のシステムを1から開発するフルオーダータイプ。大企業向け
※2:予算イメージの目安として、導入後5年程度稼働させた場合のトータルでかかるコストの概算を記載しています

さらに、WMSを導入・稼働させるまでには、以下のような時間的コストもかかります。

タイプ別・WMSの導入にかかる期間の目安
タイプ 稼働させるまでにかかる期間
SaaS型 2~3ヵ月
パッケージ型 6ヵ月~1年以上
スクラッチ型 1年半以上

WMSを導入する最大のネックとも言えるのが金銭的・時間的コストであり、導入を検討している企業側は「倉庫管理の改善に数千万~数億円もの予算を割く価値があるのか」といった慎重な判断を迫られます。

一方で、基幹システムのみで倉庫管理を改善しようとする場合においても、様々な機能を追加・拡張すれば改修コストはどんどん膨れ上がるというのが実情です。

いずれにしても現状の倉庫管理に何かしらの課題があり、それを解決しようとするのであれば、金銭的・時間的コストがかかることを念頭に置いておきましょう。

WMSの費用についてより詳しく知りたい場合は、具体的な費用感や費用面での注意点などについて解説した以下の記事をご覧ください。

2-5.WMSを導入するメリット・デメリット

WMSを導入するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのか、基幹システムを活用した場合と比較しながら見ていきましょう。

WMSを導入する6つのメリット
1.人為的ミスを削減できる
手書き・目視で行っていた業務をハンディターミナルなどを活用し半自動化することで

  • 入荷検品ミス
  • ピッキングミス
  • 送付先住所の記載ミス

などの人為的ミスを防止・削減できる

→基幹システムではハンディターミナル・バーコード等で商品データの管理ができないため、人の手・目に頼った業務が大部分となる

2.作業を効率化できる
  • 入出荷検品
  • 棚入れ
  • ピッキング
  • ラベル出力
  • 棚卸し
  • 商品の運搬

など、これまで人の手で行っていた業務の一部を自動化することで作業スピードの向上・作業工数を減らす効果が期待できる

→基幹システムではハンディターミナル・バーコード等で商品データの管理ができないため、作業の効率化には限界がある

3.業務が標準化され属人化を解消できる
ハンディターミナルを軸とした明確なマニュアルが確立され、新人スタッフからベテランスタッフまで一定の水準で作業ができる

→基幹システムではハンディターミナル・バーコード等で商品データの管理ができないため、スタッフ個人の経験や感覚に頼った倉庫管理になりやすい

4.倉庫の保管効率が上がる
商品の保管場所をデータ管理することで、固定ロケーションからフリーロケーションでの保管が可能。省スペース化につながる

→基幹システムで管理できるのは理論在庫の数と価額のみで、特定の在庫のロケーションまでは管理できないのが一般的。固定ロケーションでの保管により無駄なスペースが余りやすい

5.在庫状況がリアルタイムで把握できる
倉庫内商品の情報をシステム内に登録・管理することで、「何が・どこに・どれだけ」あるのかをリアルタイムで反映・共有・可視化でき、欠品や過剰在庫などのトラブル防止につながる

→基幹システムでは売上・仕入れなどの処理と連動して理論在庫の増減を自動調整するため、リアルタイムでの在庫管理はできない。理論在庫と実在庫に差異が生じやすく、欠品・過剰在庫のリスクも大きい

6.さまざまな外部システム・機器と情報連携できる【重要】
  • WES(倉庫運用管理システム)
  • WCS(倉庫制御システム)
  • マテハン
  • 物流ロボット
  • 需要予測AI

など、倉庫内のあらゆる情報をつなぐ拠点となり、倉庫業務の生産性と品質向上に劇的な変化をもたらす効果が期待できる

→基幹システムでは代替できない。倉庫内の情報を一元管理し、きめ細やかで自由度の高い連携をするには、WMSの導入が不可欠

 

WMSを導入する3つのデメリット
1.導入に時間とお金がかかる
数千万~数億円の費用、数ヶ月~1年半以上の導入期間がかかるため、費用を捻出できない企業はそもそも導入が難しい

→基幹システムで倉庫管理する場合も、様々な機能を追加・拡張すれば、膨大な改修コストと手間がかかる

2.自社に合ったWMSを選ぶのが難しい
機能や費用感が自社にマッチしていないWMSを選んでしまった場合、うまく機能せず従来のオペレーションに戻ってしまう・予算オーバー等のリスクがある

→基幹システム一本で倉庫管理を続ける場合、上記のような失敗は避けられる(ただし現状で抱えている倉庫管理の課題は解決しない)

3.新たな業務が発生して手間が増えるケースもある
WMS導入後は商品情報をシステムに登録するなどの作業が必要であるため、アナログな手法で倉庫管理をしていた場合はデータ化に膨大な手間がかかる可能性がある

→基幹システム一本で倉庫管理を続ける場合、データ化等の業務は発生しない(ただし現状で抱えている倉庫管理の課題は解決しないため、長期的なデメリットはどちらが大きいかはわからない)

WMSの導入にはコストがかかるなどのデメリットも存在しますが、総合的にはデメリットよりもメリットの方が圧倒的に多く、一部の例外を除いた多くの物流現場にメリットがあると言えます。

特に「さまざまな外部システム・機器と情報連携できる」というのは、基幹システムのみの運用では実現できない非常に大きなメリットです。

倉庫内で複数のシステムを連携させ、倉庫業務の最適化を図りたいと考えているのであれば、WMSの導入は必須だと言えるでしょう。

3.WMSを導入し基幹システムと連携するとどうなる?企業の成功事例

成功事例

続いては、WMSを導入し既存の基幹システムと連携させたことで倉庫業務が改善された企業の事例を2つご紹介します。

ここまでの内容を読んで

「WMSの導入・基幹システムとの連携が倉庫業務の改善に役立つことはよくわかったが、実際に導入すると現場がどう変わるのか、自社にとって本当に導入の価値があるのかがまだイメージできない」

と感じられた場合は、以下の事例を参考に、WMS導入による倉庫業務の改善効果をイメージしてみましょう。

事例1.既存の基幹システムと新たに導入したWMSを連携
理論在庫と実在庫の一致・滞留在庫の減少に成功

【企業概要】

  • 業種:製造・販売
  • 取り扱い商品:食品容器・医療用品など
  • 従業員数:500名程度

【WMS導入の背景】

自社倉庫で保管している商品在庫において、理論在庫と実在庫で一致していないという問題が判明。原因を調べたところ、入荷・出荷作業を手書きで行っていることによる人為的なカウントミスであることがわかった。新たにWMSを導入するか、それとも既存の基幹システムでの管理を続けるかを社内で話し合った結果、WMSの導入と基幹システムとの連携を決定した。

【WMS導入の効果】

  • 理論在庫と実在庫のズレを解消:自社工場の基幹システムからWMSは生産実績の取り込み・出荷指示・ピッキングリストの生成を行い、WMSから基幹システムへ実績を戻すことで、在庫データのズレ解消に成功。手作業からハンディターミナルへの切り替えで作業時間を大幅短縮
  • 滞留在庫の減少:WMSでロケーション管理ができるようになったことで、取りにくい場所にある商品が滞留するという問題が解消された

 

事例2.基幹システムのリプレイスに合わせてWMSを導入・連携
ピッキング作業の効率化とシステム運用コストの削減に成功

【企業概要】

  • 業種:情報・通信・物流
  • 取り扱い商品:出版物
  • 従業員数:200名程度

【WMS導入の背景】

長年自社開発の物流システムを利用してきたが、サーバー環境の更新に多額の費用がかかることや複数の拠点間での連携がうまくいっていないという課題があった。別軸で基幹システムのリプレイスを段階的に進めているタイミングでもあったため、クラウド型のWMSを導入することを決定した。

【WMS導入の効果】

  • ピッキング作業の効率化:WMS導入で在庫の補充タイミングが最適化されたことにより、いつでも無駄なくスムーズなピッキング作業ができるようになった
  • システム運用コストの削減:数年ごとにサーバー環境を更新しなければならなかったレガシーシステムを脱却することにより、年間数百万単位のコスト削減が実現した

このように、WMSを導入し基幹システムと連携させたことで、倉庫管理が改善されたという企業の事例は数多くあります。

注目すべきは、いずれの成功事例も

・自社が抱えている倉庫管理の課題が明確だった
・自社に合ったベンダー・WMSを吟味してから導入した

という点です。

WMSの導入・基幹システムとの連携に成功するためには、導入後のイメージの想定や慎重な製品選びが重要だと言えるでしょう。

4.WMSを導入し基幹システムと連携させるべきかどうかの判断基準

連携の判断基準

最後は、WMSを導入し基幹システムと連携させるべきかどうかの判断基準について、次の順に解説します。

・まずは自社の「WMSの導入効果」と「連携させる環境」をチェック
・WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理がお勧めな企業の特徴
・WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理をお勧めしない企業の特徴

WMSを導入・連携するかの判断がどうしてもつかないという場合は、本章の内容を意思決定のサポートとしてぜひご活用ください。

4-1.まずは自社の「WMSの導入効果」と「連携させる環境」をチェック

WMSを導入し基幹システムと連携させるべきかを決める際、最も初歩的な判断基準となるのが

・WMSの導入によって倉庫管理の改善が見込めるか
・WMSと基幹システムの連携が成功する環境は整っているか

の2点です。

WMSの導入によって倉庫管理の改善が見込めるか
まずは、そもそもWMSの導入が自社にとって有益であるかどうかを検討する

【やるべきこと】

  • 現時点での倉庫管理の課題を洗い出す(入荷検品に時間がかかる・ピッキングミスが多いなど)
  • 課題を解決する機能がWMSに備わっているかを確認

自社の課題がWMSでは解決できないものであった場合(従業員のやる気の低下など)、コストをかけてWMSを導入しても十分な費用対効果が得られない可能性が高い

WMSと基幹システムの連携が成功する環境は整っているか
既存の基幹システムの仕様によっては、希望する形での連携が実現できない・多額の開発費用が必要になるというケースもあるため、WMSと基幹システムの連携が可能かどうかも確認する必要がある

【やるべきこと】

  • 既存の基幹システムの仕様を把握する
  • 連携したいデータ・連携方法の明確化

※WMSで倉庫管理改善の効果が見込める企業であっても、基幹システムとの連携がうまくいかずWMSベンダーに断られる可能性もあるため注意

上記の2点をチェックして、まずは自社の大まかな向き・不向きを明確にしましょう。

より具体的な判断基準は、これから紹介する

・WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理がお勧めな企業の特徴
・WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理をお勧めしない企業の特徴

にて、詳しく解説していきます。

4-2.WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理がお勧めな企業の特徴

WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理がお勧めな企業の特徴は、以下のとおりです。

WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理がお勧めな企業の特徴
既存の基幹システム一本での倉庫管理に、コスト面・構造面・機能面のいずれかで限界を感じている

例)

  • 基幹システムの老朽化や機能拡張を繰り返したせいで改修コストが重くなっている
  • 構造が複雑化し、これ以上のカスタマイズが困難(他の機能に影響を及ぼすリスクがあるなど)
  • どれだけカスタマイズしても基幹システムではカバーできない機能がある

→基幹システムで全てを賄おうとせず、WMSと役割分担任させることでスピード感を持った対応が可能になる

基幹システム一本での倉庫管理に、コスト面・構造面・機能面のいずれかで限界を感じている場合は、WMSとの連携を検討すべきだと言えるでしょう。

「基幹業務は基幹システム」「倉庫管理業務はWMS」と、両者を切り分けて管理・運用することで 

・基幹システムの改修コストの削減
・構造の複雑化を解消
・倉庫管理業務の効率化・精度の向上

といったことが実現しやすくなります。

上に挙げた特徴を持つ企業が、WMSの導入・連携によってどのように課題を解決できるのか、もう少し具体的に見てみましょう。

WMSと基幹システムの連携によって解決できる課題
基幹システムの老朽化や機能拡張を繰り返したせいで改修コストが重くなっている

→基幹システムをリプレイス・倉庫管理に関する機能はWMSに集中させることで、運用コストが最小限に抑えられる可能性がある

※WMSの導入費用が別途かかるが、長期的に運用することを考えると、基幹システムを改修し続けるよりはローコストである可能性が高い

基幹システムの構造が複雑化し、これ以上のカスタマイズが困難

→基幹システムでは基幹業務・WMSでは倉庫管理業務と切り分けることで、システムの構造がシンプルになり、自社倉庫に合わせた柔軟なカスタマイズ・機能拡張が可能になる

どれだけカスタマイズしても基幹システムではカバーできない機能がある

→WMSの導入・連携によって、より効率良く高精度な基倉庫管理ができるようになる

例)

  • ハンディターミナルとバーコードによる情報管理
  • 棚卸業務の半自動化
  • マテハン・ロボットとの連動

※上記のような機能は基幹システムには搭載できないため、WMSの導入・連携が必須

本章で挙げた特徴のうち、当てはまるものが1つでもある場合は、WMSと基幹システムの連携をお勧めします。

4-3.WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理をお勧めしない企業の特徴

WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理をお勧めしない企業の特徴は、以下の2つです。

WMSと基幹システムを連携させた倉庫管理をお勧めしない企業の特徴
1.WMSと基幹システムを連携させる環境が整っていない

例)

基幹システムの仕様が古く、リアルタイムの在庫データ連携などには対応できないなど

2.WMSの導入効果が低い

例)

  • 入出荷件数が少ない(週の入出荷が5~10件の小さなECなど)
  • スタッフのITリテラシーに著しく不安を感じている(スタッフが全員年配など)

→上記のような環境の場合、WMSを活用したオペレーションが現場で定着せず投じたコストが無駄になってしまう恐れがある

「4-1.まずは自社の『WMSの導入効果』と『連携させる環境』をチェック」でもお伝えしたように、WMSと基幹システムの連携は、ベンダーの技術や基幹システム側の仕様によっては上手くいかないケースがあります。

システム連携にはWMSベンダーとの入念な擦り合わせが必要であり、ベンダー側の現状分析が不十分だった場合、

・追加開発
・スケジュールの遅れ
・コスト増大

につながるリスクがあり、最悪の場合は「時間とお金をかけても満足のいく連携ができなかった」という自体に陥る可能性もあります。

上に挙げた特徴のうち、当てはまるものが1つでもあった場合は、WMSの導入は一度保留にして以下の3ステップを実践すると良いでしょう。

【3ステップ】WMSの導入・基幹システムとの連携に成功しにくい企業が取るべき行動
【STEP1.まずはプロに相談】

専門家(物流コンサルティング事業を手がける企業など)に問い合わせ、自社でWMSを導入した場合十分な費用対効果が得られるのか、連携はうまくいきそうか、プロ視点の意見を聞く

参考記事:「物流ITコンサルティングとは?依頼すべきケースや相場をプロが徹底解説

【STEP2.WMSを導入してもメリットが少ないようならWMS以外の施策を探す】

専門家から「WMSを導入しても効果が期待できない」とアドバイスされた場合は、

  • 業務フローや作業動線を見直す(人手不足やミスが多い倉庫の場合)
  • 業務分析をし、無駄にコストかかっている部分がないか見直す(人件費に悩む倉庫の場合)

といったWMS以外の施策を講じる

【STEP3.連携がうまくいかないようなら基幹システムのリプレイスを検討する】

専門家から「今の基幹システムではWMSとの連携が難しい」とアドバイスされた場合は、

  • 基幹システムをリプレイスする
  • 新しい基幹システムにマッチしたWMSを導入する

といった大規模なシステム改修が必要になる

いずれにしても、WMSの導入・基幹システムの連携に失敗しないためには、WMSベンダー選定の前にプロの第三者からアドバイスを仰ぐことをお勧めします。

5.WMSと基幹システムを連携する手順

連携する手順

WMSと基幹システムを連携する手順は、以下のとおりです。

5ステップ】WMSと基幹システムを連携する手順
STEP1.既存の基幹システムのデータ連携要件を整理
  • 基幹システム内に蓄積されているデータのうち、WMSとの連携が必要なデータを洗い出す
  • 基幹システムの構造が老朽化・複雑化しており連携が難しい場合は、基幹システムごとリプレイスするケースもある
STEP2.WMSの選定
  • 既存の基幹システムと相性が良く、なおかつ自社の倉庫環境に適したWMSを探す
  • 必要に応じて機能をカスタマイズする
STEP3.データ連携の設計・開発
※ここからはSTEP2.で選定したWMSのベンダー主導で計画を進める

WMSと基幹システムが正しくデータ連携できるよう、設計・開発を行う

STEP4.テスト運用
開発したWMSが問題なく稼働するか、基幹システムとの連携がうまくできているかを確認する
STEP5.稼働
テスト運用で問題が生じなければ、実際の業務で稼働させる

STEP3.以降はWMSベンダー主導で連携を進めることになるため、依頼する企業側にとっては

・STEP1.既存の基幹システムのデータ連携要件を整理する
・STEP2.WMSの選定

の2つが特に重要になってきます。

ただし、要件整理やWMSの選定を行うには、ある程度のWMSに関する専門知識が必要です。

専門知識を持たない社内の人間だけで上記の手順をこなすのは難しく、WMSの選定で失敗してしまう可能性もあります。

既存の基幹システムとマッチしていないWMSを選び、そのままベンダー主導で話が進み、最終的には望まない形での連携となってしまったというケースも少なくありません。

このような失敗を防ぐために、WMSと基幹システムを連携させる際には、物流コンサルタントなどの「プロの第三者」に相談しながら進めることを強くお勧めします。

6.WMSの導入・連携に悩んだらプロに相談を!Rally Growthの「物流ITコンサルタント」にお任せください

Rally Growth株式会社

WMSについてリサーチしていくなかで、

「自社の基幹システムが老朽化・複雑化しており、WMSと連携させられるか不安」
「どのようなベンダーを選べば良いかわからない」

といったお悩みをお持ちであれば、物流コンサルティングサービスを手掛ける「Rally Growth」にご相談ください。

Rally Growthとは?
2021年に創立した、ミドルマーケットを中心としたDX化/新規事業構築支援を行う、ビジネスコンサルティングファームです。

代表の園田を中心に物流業界に知見のあるメンバーが集まっており、主に物流DXに関連する案件を中心に、複数の企業を支援しています。

Rally Growthの強み

強みその1.多数のWMS導入支援実績

Rally Growthでは、これまで多数の企業にWMS導入支援を行ってきました。
導入のハードルが比較的低いSaaS型やパッケージ型WMSだけではなく、一から開発するフルスクラッチのシステム構築支援を行った事例もあります。
貴社にとって本当に必要な製品はどれか、選定・提案させていただきます。

強みその2.豊富な知識に基づいた広い視点での企画・提案ができる

これまで物流の改善企画を数多く支援してきた経験から、

  • 一般的な物流の仕組み
  • 物流現場の実情
  • 物流システム
  • マテハン

など、物流業界の幅広い知識を持っているのは、Rally Growthの大きな強みです。
「課題が多岐にわたっていて、何から手をつけて良いかわからない」という場合でも、広い視点での企画・提案ができます。

WMSの選定を含む、お客様の支援事例
【プロジェクト概要】

・業態:製造小売
・取扱製品:アパレル
・従業員数:約35,000人
・導入目的:基幹システム・マテハン・WMSを連携させ、超省人化を実現させる

【プロジェクト背景】

6階建ての延床面積約10万㎡という巨大な専用物流倉庫を建設した同社は、マテリアルハンドリングメーカーと手を組み、RFID(無線自動識別)や自動倉庫、自動搬送機などを取り入れたプロジェクトを発足しました。

【支援内容】

弊社も当プロジェクトに参画し、主に以下3つの支援をさせていただきました。
・新倉庫の構想策定
・マテハンの選定
・WMSの選定

最適なベンダーを探すべく、ベンダー選定に先立って多種多様なマテハンを活用したオペレーションの設計を行っていましたが、既存のクラウド製品ではマテハンとの連携はもちろん、同社の基幹システムとの連携も難しかったため、オンプレミス型かつフルスクラッチでのシステム構築に踏み切りました。結果として大規模な物流倉庫の立ち上げに成功し、今では日本最大級の省人化倉庫として日々稼働しています。

その他、エム・シー・ヘルスケアホールディングス様の新物流システム構想策定などもご支援しています。

>>Rally Growthの支援事例をさらに詳しく見る

WMSの導入にはコストがかかり、特に

・大幅なカスタマイズを加えたパッケージ型WMS
・一から開発するフルスクラッチ型WMS

の場合は導入コストが数千万~数億円にのぼる可能性もあります。

多額の予算を割いてWMSを導入しても、機能を思うように使いこなせなければ、倉庫業務の改善に十分な効果を発揮させられません。

「WMSを導入すると決めたが、実際に契約するとなるとベンダーの候補を絞れない」
「絶対に失敗したくない」

と考えている方こそ、まずはお気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
Rally Growth株式会社への物流に関するコンサルティング案件のご相談はこちらより承っております。ぜひお気軽にご相談ください。

Rally Growth 相談

【資料請求】

以下よりRally Growthのサービス資料もご請求いただけます。

ご支援の全体像や具体的なご支援プランを掲載していますので、物流を中心としたDX支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。

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<Rally Growth サービス資料イメージ>

Rally Growth サービス資料

7.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼WMSと基幹システムの違い

【WMS】

倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステム

→倉庫管理に特化したシステム

【基幹システム】

企業の主要な業務を効率化・自動化させる管理システム

→倉庫管理に特化したシステムではない

【倉庫業務における両者の違い】

  • 管理対象の範囲
    WMS:倉庫内の業務・設備・商品全般
    基幹システム:在庫の数と金額
  • 機能
    WMS:入出荷管理・在庫管理・棚卸管理・マスタ管理・外部連携
    基幹システム:在庫管理・他の機能との連携
  • 期待できる効果
    WMS:倉庫内の物の流れをデータで管理し、オペレーションを最適化する
    基幹システム:倉庫の在庫状況を生産・販売データと一元管理し、企業全体の基幹業務を効率化する

→倉庫管理を改善したい場合、WMSを導入し基幹システムと連携させて使うのが一般的

▼WMSを導入し基幹システムと連携させるべきかどうかの判断基準

  • WMSの導入によって倉庫管理の改善が見込めるか
  • WMSと基幹システムの連携が成功する環境は整っているか

【お勧めな企業の特徴】

既存の基幹システム一本での倉庫管理に

  • コスト面
  • 構造面
  • 機能面

のいずれかで限界を感じている

【お勧めしない企業の特徴】

  • WMSと基幹システムを連携させる環境が整っていない
  • WMSの導入効果が低い

▼WMSと基幹システムを連携する手順

  • 既存の基幹システムのデータ連携要件を整理
  • WMSの選定
  • データ連携の設計・開発
  • テスト運用
  • 稼働

→要件整理やWMSの選定はある程度の専門知識を要するため、プロに相談しながら進めるのがお勧め

本記事の内容が、貴社のシステムの見直しや、WMS選びの参考になりましたら幸いです。

この記事を書いた人
安孫子悠介

安孫子悠介

Rally Note編集長 &Rally Growth株式会社 取締役。 専門はBtoB営業とマーケティング。KPI設計を含めた営業戦略・営業現場改善や、コンテンツマーケ、CRM、サイトUX改善などデジタルに強み。

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