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WMSの導入費用はいくら?5年間利用した予算目安まで具体的に解説

カテゴリー:logistics
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WMS アイキャッチ

「倉庫業務の効率化や人為的ミス軽減のためにWMSを導入したいが、予算が割けるか心配」
「WMSの導入にどれほどの費用がかかるのか、具体的な相場が知りたい」

WMSの導入を検討しはじめ、このようなことをお考えの物流担当者様は多いのではないでしょうか。

WMSの導入にかかる費用は、製品のタイプや使いたい機能によって大きく変わりますが、タイプごとの大まかな費用相場は以下のとおりです。

タイプ別・WMSの費用相場
製品タイプ※1 5年間利用した総コストの相場※2 イニシャルコスト ランニングコスト
SaaS型

・ベンダーの提供するシステムを月額制で利用するタイプ
・小規模で一般的な物流業務が中心な中小企業向け

1,300万円~ 100万円~ 月額20万円~
(年間240万円~)
パッケージ型

・倉庫管理に必要な基本機能が既に開発されてパッケージ化されているタイプ(カスタマイズも可)
・一定の物量があり、業務パターンがやや複雑な中堅~大企業向け

6,000万円~ 数千万円~ 開発費の10%程度

年間300万円~
スクラッチ型

・自社専用のシステムを1から開発するタイプ
・特殊な業務が多く、自社に合ったシステムを1から構築したい大企業向け

1億3,000万円~ 数千万~数億円 開発費の10%程度

年間500万円~

※1:各タイプの詳しい定義や料金体系については、記事内「1.タイプ別・WMSの費用相場」にて解説しています
※2:予算イメージの目安として、導入後5年程度稼働させた場合のトータルでかかるコストの概算

WMSの導入に多額の予算が割けない中小企業の場合、初期費用が安いSaaS型WMSは手頃に感じるかもしれませんが、5年も運用し続ければ1,000万円近くの費用がかかる場合もあります。

そのため、「表面的な価格の安さ」よりも「長期的な費用対効果」を考えて、

・そもそも自社にとってWMSの導入が必要かどうか
・どの製品を導入するか

といった判断をすることが重要です。

本記事では、WMSの導入を検討するうえで費用面が気になっている企業様・担当者様に向けて

・タイプ別・WMSの費用相場
・WMS導入前に知っておきたい費用面の注意点
・費用以外でWMSを選定するポイント
・お勧めの製品

といった情報を、具体的な金額を用いてわかりやすくお伝えします。

実際にかかる費用はベンダーに見積もりを取るまではわかりませんが、おおよその費用感を把握できればWMSの導入が貴社にとって本当に必要かどうかを判断しやすくなるので、ぜひ最後までご覧ください。

製品ごとの費用を今すぐ比較したい場合は、記事の後半「4.【費用とその他特徴を徹底比較】お勧めWMS8選」から御覧いただけます。

【記事監修】園田真之介

物流 コンサルタント
Rally Growth株式会社 代表取締役社長。株式会社FrameworxでSEとしてキャリアを形成後、株式会社BayCurrent Consultingを経て現職。専門は物流・ロジスティクス×IT領域。過去に大手アパレルの物流・倉庫最適化や大手自動車メーカーの物流システム刷新の案件をコンサルタントとして多数経験。2021年グロービス経営大学院卒(MBA)

1.タイプ別・WMSの費用相場

WMS 費用相場

まずは、WMSの費用相場をタイプ別に紹介します。

WMSの3つのタイプとは?
1.SaaS型
※中小企業向け
・ベンダーが提供するシステムを、月額を支払って利用するタイプ

・すでに用意されている機能を利用するため、基本的にカスタマイズはできない

・導入コストは3タイプの中で最も低くなりやすく、ランニングコストも相対的に安価だが、カスタマイズ性は下がるため価格以外の要素も含めた判断が必要

2.パッケージ型
※中堅~大企業向け
・基本的な機能がパッケージ化されているタイプ

・あらかじめ用意されている標準機能に加え、自社の業務内容に合わせて機能をカスタマイズできる

・カスタマイズを加えるほど、開発費用が膨らむ

3.スクラッチ型
※大企業向け
・自社専用のシステムを1から開発する、フルオーダータイプ

・ベンダーから製品を購入するのではなく、物流知見と開発力のあるSIerに依頼して開発する

・3タイプのなかで最もコストが高くなりやすく、総コストが数千万~数億円にのぼるケースもある

それぞれのタイプの

・予算イメージ
・イニシャルコスト
・ランニングコスト
・料金体系
・内訳

を紹介するので、本章でタイプごとの大まかな費用感を把握しておきましょう。

【本記事における「予算イメージ」について】

本記事では、

「当該のWMSを5年間利用し続けた場合の総コスト(イニシャルコスト+ランニングコスト)」

を予算イメージとして提示しています。
一般的な費用相場を考慮した概算であるため、あくまで目安として参考にしていただくことをお勧めします。

 

1-1.SaaS型WMS【予算イメージ1,300万円~】

ベンダーが提供するシステムを月額を支払って利用するタイプ「SaaS型WMS」の費用相場は、以下のとおりです。

SaaS型WMSの費用相場
予算イメージ
(5年間利用した場合)
1,300万円~
イニシャルコスト 100万円~

【内訳】
・データ移行費
・トレーニング費

ランニングコスト 月額20万円~

【内訳】
サービス利用料

タイプの特徴 ・ベンダーが提供するシステムを、月額を支払って利用するタイプ

・メリット:稼働させるまでにかかる期間が短い(2~3カ月程度)
・デメリット:基本的にカスタマイズはできない

費用面の特徴 ・初期費用は3タイプのうち最も安価かつ、ランニングコストも相対的に低価格
・ただしカスタマイズ性は下がるため価格以外の要素も含めた判断が必要
こんな企業にお勧め ・小規模で一般的な物流業務が中心な中小企業
・カスタマイズが不要で標準的な機能があれば十分な企業

SaaS型WMSは、初期費用が安い・導入~稼働までをスピーディーに進められるといった特長があることから、中小企業や小規模な現場で利用される傾向にあります。

ただし、「初期費用が安い=どの企業にとっても安い」とは限らないため、導入前の際には以下の3点に注意しましょう。

SaaS型WMSの費用に関する注意点
・長期間利用するほどコストは上がる

初期費用が安く済んでも買い切りタイプではないため、総コストは一定の金額になる

・「費用は安いがうまく扱えない」という失敗に陥るリスクがある

基本的にはカスタマイズ不可のため、いざ導入してみたら現場のオペレーションと相性が悪くうまく活用できないケースもあるので、パッケージ型などとフラットな目線で比較してみることが必要

・追加料金が発生する可能性がある

初期費用無料を謳っているベンダーは、導入支援サービスなどが追加で料金がかかるケースもある

ここで、実際にSaaS型WMSを導入した場合の料金シミュレーションを見てみましょう。

SaaS型WMSの費用シミュレーション(一例)
・開発費:0円
・導入費:100万円
・サービス利用料:月額20万円でSaaSベンダーに依頼し、5年間利用した場合…
イニシャルコスト:100万円
ランニングコスト:20×12カ月×5年分=1,200万円
→総コスト:1,300万円

上の計算はあくまで一例ですが、初期費用だけではなく、ランニングコストとWMSを利用する期間も考慮して導入するかどうか判断することをお勧めします。

1-2.パッケージ型WMS【予算イメージ6,000万円~】

パッケージ型WMSの費用相場は、次の表のとおりです。

パッケージ型WMSの費用相場※
予算イメージ
(5年間利用した場合)
6,000万円~
イニシャルコスト 数千万円~

【内訳】
・開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
・データ移行費
・トレーニング費
※開発規模によって大きく変動する

ランニングコスト A:開発費の10%程度+B:300万円~(年間)

【内訳】
A:保守作業費用
B:クラウド利用料

タイプの特徴 ・基本的な機能がパッケージ化されているタイプ

・あらかじめ用意されている標準機能に加え、自社の業務内容に合わせて機能をカスタマイズできる

費用面の特徴 カスタマイズの程度や追加するオプションによって費用が大きく変動する

※標準機能にカスタマイズを加えるほど、開発費用が膨らむ

こんな企業にお勧め ・一定の物量があり、業務パターンがやや複雑な中堅企業
・取引先数が多く、多様な納品形態・保管形態の対応が必要な企業

※こちらの表では月額制の「クラウド型WMS」を想定して金額を記載していますが、自社にサーバーを置く「オンプレミス型WMS」の場合も、5年間利用し続けた総コストはクラウド型と同程度だと想定されます。

パッケージ型WMSは、入荷管理や在庫管理といった倉庫管理業務をこなすために必要な機能があらかじめパッケージ化されており、導入後は自社の業務内容に合わせて機能の追加やカスタマイズをして利用するのが一般的です。

パッケージ型WMSのよくあるカスタマイズには、次のようなものがあります。

パッケージ型WMSの標準機能のカスタマイズ例※
入荷管理機能のカスタマイズ 入荷元のASNデータを連携させ、検品レスで在庫計上できるようにする

→入荷時の作業時間が短縮

出荷管理機能のカスタマイズ 入荷した箱単位での出荷指示が発生した際、箱をそのままピッキングラベルとして有効活用したピッキングリストが出力されるようにする

→ピッキングの作業効率が向上

在庫管理機能のカスタマイズ 賞味期限管理している在庫の残日数に応じてアラートを表示する

→期限切れによる在庫の廃棄を防ぐ

→これらのカスタマイズを追加するほど、総コストは高くなる

※カスタマイズの費用はベンダーによって異なる

カスタマイズは基本的に導入費やクラウド利用料に含まれず別料金として加算されるため、どれだけカスタマイズ・オプションをつけるかによって総コストは大きく変動します。

以下は、実際にパッケージ型WMSを導入した場合の料金シミュレーションの一例です。

パッケージ型WMSの費用シミュレーション(一例)
・開発費:3,000円
・導入費:300万円
・保守作業費:年間300万円
・サーバーレンタル料:年間300万円でパッケージベンダーに依頼し、5年間利用した場合…
イニシャルコスト:3,300万円
ランニングコスト:300万円×5年分+300万円×5年分=3,000万円
→総コスト:6,300万円

自社で実現したいものが、一般的なWMSの標準機能では間に合わない場合、開発費用がかさむことをあらかじめ想定しておくと良いでしょう。

1-3.スクラッチ型WMS【予算イメージ1億3,000万円~】

スクラッチ型WMSの費用相場は、以下のとおりです。

スクラッチ型WMSの費用相場
予算イメージ
(5年間利用した場合)
1億3,000万円~
イニシャルコスト 数千万~数億円

【内訳】
・開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
・データ移行費
・トレーニング費
・サーバー購入
・設定作業費
※開発規模によって大きく変動する

ランニングコスト A:開発費の10%程度+B:500万円~(年間)

【内訳】
A:保守作業費用
B:クラウド利用料

タイプの特徴 ・自社専用のシステムを1から開発する、フルオーダータイプ

・ベンダーから製品を購入するのではなく、物流知見と開発力のあるSIerに依頼して開発する

費用面の特徴 3タイプのWMSのうち、最も費用が高額になりやすいため、基本的には予算が潤沢にある大企業向け
こんな企業にお勧め ・定常的に多くの物量を扱っており、戦略的な物流体制の構築が必要な大企業
・特殊な業務が多く、自社の業務に合わせたシステムを1から構築したい企業

自社専用のシステムを一から構築するという性質上、ベンダーの提供するサービスを購入・利用する他タイプと比べて最も費用が高額になりやすいのが、スクラッチ型WMSの特徴です。

コストがかかるうえに、大規模プロジェクトの場合が稼働させるまでに1年以上かかるため、資本体力のある大企業でよく見られるタイプです。

一方で、「パッケージ型WMSを購入したが、大幅なカスタマイズを加えたことによりスクラッチ型とほぼ変わらない多額の費用がかかってしまった」というケースもあるため、

・パッケージ型WMS+大幅なカスタマイズを加える「セミスクラッチ」
・スクラッチ型WMSで一から開発する「フルスクラッチ」

のどちらかで迷っている場合は、双方で見積もりを取ることをお勧めします。

2.WMS導入時に追加でかかる可能性がある費用

WMS 導入

前章ではWMS導入にかかる一般的な費用についてお伝えしましたが、それ以外にも追加でかかる可能性がある費用には、以下のようなものがあります。

WMS導入時に追加でかかる可能性がある費用
項目 費用相場(一例)
機器レンタルor購入費用

ハンディターミナルなど、WMSの運用に必要な機器のレンタル・購入費用

例)ハンディターミナルの場合
レンタル:月額数千円〜程度(1台あたり)
購入:5~10万円程度(1台あたり)
データ移行支援

既存システムからデータを移行する費用

SaaS型:100万円~
パッケージ型:300万円~
スクラッチ型:500万円~
運用支援

スタッフのトレーニング・運用テストなどにかかる費用

追加カスタマイズ

導入後にカスタマイズを加えた場合の費用

カスタマイズの範囲・複雑さによる

WMSの導入費用について考える際、重要なポイントとなるのが、「最終的にいくらかかるのか」です。

「満足のいくWMSを導入することには成功したが、蓋を開けてみたら予算を大幅にオーバーしてしまっていた」

といった状況に陥らないためには、上の一覧表で示したような追加料金がかかる可能性をあらかじめ想定しておく必要があります。

特に初期費用が極端に安いベンダーの場合、運用支援などが初期費用に含まれていない可能性が高いため、見積もりの際は内訳まで細かくチェックすると良いでしょう。

ここまでが、WMSの導入費用に関する基本的な知識です。

「予算イメージが思っていた以上に高額だった」
「実際に見積もりを取って、とても払えない金額だったらどうすれば良いのか」

と、不安に思われる企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような不安を解消するために、次章からは、貴社に合った費用対効果の高いWMSを選ぶための実践的な情報をお伝えします。

3.WMS導入費用で失敗しないための注意点

WMS 導入費用 失敗

ここからは、WMSの導入に費用面で失敗しないための2つの注意点についてお話しします。

・「初期費用の安さ」に飛びつくのは危険
・実際にかかる費用が相場から大きく外れる場合もある

これまで紹介してきたWMSの導入費用の目安を知って

「予算も限られているし、SaaS型WMSを提供しているベンダーに見積もりを取って、その中でも安く済みそうなところに依頼しよう」

と考えている中小企業様は多いかもしれませんが、表面上の額面だけを見ていると、思わぬ落とし穴にはまる危険があります。

なぜ上に挙げたようなポイントに注意する必要があるのか、注意しないことでどのような失敗に繋がるのか、詳しく見ていきましょう。

3-1.「初期費用の安さ」に飛びつくのは危険

WMSの導入に費用面で失敗しないためには、初期費用の安さに飛びつくのは危険だということを認識しきましょう。

「初期費用の安さ=総コストの安さ」とは限らず、初期費用だけを見て契約してしまうと、長期的には予算オーバーとなってしまうケースもあります。

「初期費用無料」と謳っているベンダーでも、クラウド利用料などのランニングコストが高額であった場合、長期間使い続けるほど総コストは高くなります。

ここで具体例として、料金体系の異なるベンダー2社の総コストを比較してみましょう。

SaaS型WMSを5年間利用した場合の総コスト比較
ベンダーA社の場合 ベンダーB社の場合
【料金体系】
初期費用:無料
サービス利用料:月額20万円【5年間利用した場合の総コスト】
0円+20万円×12カ月×5年分=1,200万円
【料金体系】
初期費用:100万円
サービス利用料:月額10万円【5年間利用した場合の総コスト】
100万円+10万円×12カ月×5年分=700万円
→初期費用はA社の方が100万円安いが、5年間利用した場合の総コストはB社の方が500万円安い

このように、初期費用が安いからと言って、長期間利用した場合の総コストも安く済ませられるとは限りません。

できるだけローコストで小さく始めたいと考えている企業にとっては、初期費用の安いベンダーは魅力的かもしれませんが、WMSは5年先・10年先を見据えたベンダーの選定が重要です。

「どうしても高額な初期費用が払えない」
「見積もりの段階で予算がオーバーしている」

といった場合は、安易に「予算の範囲内でやってくれる安いベンダーを探す」のではなく、

・ベンダーに初期費用を抑えられないか交渉する
・他の部分でコストカットして予算を拡大する

といった対策を講じることをお勧めします。

3-2.実際にかかる費用が相場から大きく外れる場合もある

WMSの導入に費用面で失敗しないための注意点、2つめは「実際にかかる費用が相場から大きく外れる場合もある」という点です。

本記事で提示している導入費用はあくまで一般的な目安であり、実際にかかる費用は倉庫の規模や業務内容によって大きく変動します。

【おさらい】タイプ別・WMSの費用相場
製品タイプ 5年間利用した
総コストの相場
イニシャルコスト ランニングコスト
SaaS型 1,300万円~ 100万円~ 月額20万円~
(年間240万円~)
パッケージ型 6,000万円~ 数千万円~ 開発費の10%程度

年間300万円~
スクラッチ型 1億3,000万円~ 数千万~数億円 開発費の10%程度

年間500万円~

あなたの会社でWMSを導入した場合、実際いくらの費用がかかるのかは、ベンダーが現場を視察したうえで

・必要な機能の洗い出し
・カスタマイズの必要性の検討

等をしなければ割り出せないものであり、本記事で提示している費用相場の範囲が広いのはこのためです。

例えば、「予算3,000万円でパッケージ型WMSを開発しようとしたが、現場のオペレーションが特殊で標準機能に大幅なカスタマイズを加える必要があるとわかり、結果1億円近くの開発費用がかかってしまった」といったケースも有り得ます。

このような「一般的な費用相場」と「実際にかかる費用」のギャップを埋めるためには、

・大前提として、相場はあくまで目安として参考程度に頭に入れておく
・事前に社内で現状分析・必要な機能の洗い出しをしておき、適正な費用で自社の課題を解決してくれるベンダーを選ぶ(契約後の追加料金の発生を防止する)

といった対策が有効でしょう。

【ベンダーの選定は専門家に相談しながら行うのがお勧め】

WMSの導入には一定の専門知識を要するため、

・自社の現状分析(倉庫管理における課題)
・必要な機能の洗い出し
・ベンダーの選定

といった作業を社内の人間だけで行うのは難しいというのが実情です。
一方で、ベンダーに直接問い合わせて相談した場合、当然ながらベンダーが提供する製品をベースとしたアドバイスが中心になるため、「貴社に最も適した選択肢」を提案してもらいづらい傾向にあります。

ベンダーの選定に迷うようであれば、客観的な提案・アドバイスをしてくれる「物流ITコンサルタント」などの専門家に相談しに行くことをお勧めします。

物流ITコンサルティングの詳しいサービス内容や事例については、より詳しく解説した以下の記事をご覧ください。

4.【費用とその他特徴を比較】お勧めWMS10選

WMS お勧め10選

最後は、お勧めのWMSを費用やその他特徴を比較しながらタイプ別に紹介します。

製品名 イニシャルコスト
(税込)
ランニングコスト
(月額・税込)
SaaS型
W3 mimosa 22万円~ 4万1,250円~
タナヨミ 16万1,700円
※スタンダードプランを利用した場合の参考料金
6万2,150円
※スタンダードプランを利用した場合の参考料金
パッケージ型
Xble 44万円~ 2万2,000円~
※出荷明細数に応じて従量課金
クラウドトーマス 無料~
※導入支援サービス22万円~
9万9,000円~
クラウドトーマスPro 要問合せ 16万5,000円~
Air Logi 3万8,500円
※導入支援は別途有料
1万1,000円~
ci.Himalayas/R2 34万200円 2万1,600円~
SLIMS クラウド版 44万円~ 5万4,780円~
オンプレミス版 660万~
※基本パッケージ価格
開発費用の8%(年間)
※保守費用
パッケージ型(高いカスタマイズ性)
ONEsLOGI

「物流センター管理システム

要問合せ 要問い合わせ
Logistics Station iWMS® G5 要問合せ 要問い合わせ

WMSのベンダーは詳しい料金を公開していないケースが多く、金額の比較が難しい傾向にありますが、本章では公開されている範囲で8社の製品情報を可能な限りまとめています。

見積もりを取るベンダーの候補を絞るつもりで、費用やその他の特徴を比較しながら読み進めていきましょう。

4-1.お勧めSaaS型WMS

まずは、SaaS型WMSでお勧めの製品を2つ紹介します。

W3 mimosa
WMS ミモザ
イニシャルコスト
(税込)
22万円
(ユニットライセンス)
ランニングコスト
(月額・税込)
・ライトプラン:4万1,250円/ユニット
・スタンダードプラン:6万8,750円/ユニット
・定額プラン:年額110万円/ユニット
※従量課金制
その他オプション
(税込)
・OMS・カート連携:月額1万1,000円
・統合管理ユニット:月額1万1,000円
費用面の特徴 以下の機能は別途カスタマイズ費用が必要(料金非公開)

・複数荷主・複数拠点での運用
・基幹システムとの連携

費用以外の特徴 ・初心者向けの優しいUI
・無料デモアカウントを発行して体験利用ができる

出典:mimosa

タナヨミ
WMS タナヨミ
イニシャルコスト
(税込)
16万1,700円

【内訳】
・システム初期導入費用:7万9,200円(月額利用料の3カ月分)
・現地初期設定費用リモート初期設定費用:55,000円
・リモート保守初期設定費用:27,500円

ランニングコスト
(月額・税込)
6万2,150円

【内訳】
・月額利用料金:2万6,400円
・機器レンタル料:2万2,000円(HT2台分)
・リモート保守サービス料:1万3,750円

費用面の特徴 ・現場の課題をヒアリングした後、最適なプランの提案と費用見積もりがされる
・他社が追加・カスタマイズした機能を共有できる「標準化カスタマイズ」を採用しており、カスタマイズ費用を抑えられる可能性がある
費用以外の特徴 配送・入出荷・倉庫管理全般の業務を委託できる「請負サービス」が利用できる

出典:タナヨミ

※スタンダードプラン利用時の参考料金。他プランの料金は要問合せ

WMSの導入費用の予算に余裕がなく、

「できるだけ初期費用を抑えたい」
「本格的に導入するかを決めるために、短期間だけお試しで利用してみたい」

といった場合は、まずはこれらのSaaS型WMSで見積もりを取ってみると良いでしょう。

4-2.お勧めパッケージ型WMS(カスタマイズ自由度:低~中)

続いて、パッケージ型WMSのお勧め製品を5つ紹介します。

Xble
WMS Xble
イニシャルコスト
(税込)
44万円~

【内訳】
・利用機能の設定
・ 機器セットアップ
・ 操作説明
・ 問い合わせ/QA対応

ランニングコスト
(月額・税込)
2万2,000円~(基本料金)※
その他オプション ・マスタ整備支援
・ 運用設計支援
・トレーニング・テスト支援
・ 運用支援(現場立ち会い等)
・カスタマイズ(インターフェース構築、新規帳票構築、アドオン機能構築等)
→各種費用は要問合せ 
費用面の特徴 完全従量課金制のため保守費用は不要
費用以外の特徴 スマートフォンで操作でき、ハンディターミナルの購入・レンタルが不要

料金参考:日本倉庫協会「Xble:キシブル(WMS:倉庫管理システム)

クラウドトーマス
WMS クラウドトーマス
イニシャルコスト
(税込)
無料
※導入支援は別途有料
ランニングコスト
(月額・税込)
9万9,000円~
(基本利用料・1~5アカウントまで)
その他オプション
(税込)
・アカウント追加料:月額5,500円
・ショップ・荷主追加料:月額2万7,500円
・導入支援サービス料:22万円
・現地調査費用:5万5,000円~11万円
・打ち合わせ・出張指導:3万3,000円
・機器購入費用:5万2,800円/台~
費用面の特徴 導入費が初期費用に含まれていないため注意
費用以外の特徴 ・スタッフ目安1~15名の、小規模現場向けWMS

・さまざまな業種・業態の導入実績あり
業種:製造・卸・物流・ECなど
業態:toC・toB

出典:クラウドトーマス「料金

クラウドトーマスPro
WMS クラウドトーマスプロ
イニシャルコスト
(税込)
要問合せ
ランニングコスト
(月額・税込)
16万5,000円~
(基本料金)
費用面の特徴 プランごとに基本料金が異なる。プランの種類・料金は要問合せ
費用以外の特徴 ・独自APIの公開により上流、下流システムとの連携が容易

・食品・アパレル・医療など業界に特化した機能が追加できる

出典:クラウドトーマスPro

Air Logi
イニシャルコスト
(税込)
3万8,500円
※導入支援は別途有料
ランニングコスト
(月額・税込)
1万1,000円~
その他オプション
(税込)
・導入支援費用:要問合せ
・スマホハンディレンタル:7,150/台(月額)
費用面の特徴 21日間の無料トライアルあり
費用以外の特徴 EC物流に強く、自社OMS経由でモール・カートとのAPI連携実績多数

出典:Air Logi

ci.Himalayas/R2
WMS ci
イニシャルコスト
(税込)
34万200円

【内訳】
・環境構築
・マスタセットアップ
・オペレーション教育
・導入立会い

ランニングコスト
(月額・税込)
2万1,600円~
その他オプション
(税込)
・24時間365日運用サポート
・ERPシステム・マテハンシステムとの連携
→各種費用は要問合せ 
費用以外の特徴 情報セキュリティ対策に力を入れている
(ISO-27001の取得・耐災害性に強いデータセンターの設置・バックアップ用に別サーバーを設けているなど)

出典:ci.Himalayas/R2
料金参考:日本倉庫協会「ci.Himalayas/WMS

SLIMS
WMS SLIMS
イニシャルコスト
(税込)
クラウド版:44万円~
オンプレミス版:660万~
ランニングコスト
(月額・税込)
クラウド版:5万4,780円~
オンプレミス版:開発費用の8%(年間)
その他オプション
(税込)
帳票カスタマイズ:11万円
ハンディターミナルレンタル料:1,650円/台~
費用面の特徴 ・クラウド版のみ無料トライアルあり
・クラウド版はスタンダード・プロフェッショナル・プレミアムの3プランから選択可能
※各プランの費用・内訳は要問合せ
費用以外の特徴 リアルタイムの進捗管理・マネジメントに必要な運営管理機能が充実している
(商品分析や作業効率の向上を目指したい現場にお勧め)

出典:セイノー情報サービス「倉庫管理 SLIMS 価格

WMSの標準機能に軽微なカスタマイズを加えたい場合は、SaaS型よりもこれらのパッケージ型WMSを検討すると良いでしょう。

4-3.お勧めパッケージ型WMS(カスタマイズ自由度:高)

最後は、カスタマイズの自由度が高いお勧めパッケージ型WMSの費用とその他特徴を紹介します。

ロジスティード
WMS ロジスティード
イニシャルコスト
(税込)
要問い合わせ
ランニングコスト
(月額・税込)
要問い合わせ(開発ボリュームとデータのボリュームにより変動)
その他オプション
(税込)
・倉庫内の在庫適正化や作業効率化ツール
・マテハンと連携するためのWCS/RCS
・TMS(輸配送管理)との連携
→各種費用は要問合せ
費用面の特徴 ・業務に合わせ最適な機能を提案するため、イニシャルコストについては特に事前相談が必要
費用以外の特徴 複数の倉庫拠点・複数荷主を有する、中~大規模物流センター向けのWMS

出典:ロジスティードソリューションズ株式会社「ONEsLOGI 物流センター管理システム

Logistics Station iWMS® G5
WMS iWMS
イニシャルコスト
(税込)
要問い合わせ
ランニングコスト
(月額・税込)
要問い合わせ(開発ボリュームとデータのボリュームにより変動)
その他オプション
(税込)
・物流センター整流化システム(RCS)
・マテハン連携および最適化を行うWCS/WESとの連携
→各種費用は要問合せ
費用面の特徴 ・業務に合わせ最適な機能を提案するため、イニシャルコストについては特に事前相談が必要
費用以外の特徴 マテハン・ロボットやその他個別ソリューションとの連携実績が豊富で、自社に合った省人化の施策を相談できる

出典:Frameworx「Logistics Station iWMS® G5

大幅なカスタマイズを加えたいが、フルスクラッチを導入するほど予算に余裕がない場合は、このようなカスタマイズ性の高いパッケージ型WMSがお勧めです。

またスクラッチ開発については、物流領域の知見を持つSIerに相談することをお勧めします。

(ご参考)
物流領域に強みを持つSIer:株式会社システムズ

 

5.手っ取り早く費用対効果の高いベンダーを見つけたい…という企業様。Rally Growthの「物流DXコンサルタント」に相談ください

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Rally Growthとは?
2021年に創立した、ミドルマーケットを中心としたDX化/新規事業構築支援を行う、ビジネスコンサルティングファームです。

代表の園田を中心に物流業界に知見のあるメンバーが集まっており、主に物流DXに関連する案件を中心に、複数の企業を支援しています。

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Rally Growthでは、これまで多数の企業にWMS導入支援を行ってきました。
導入のハードルが比較的低いSaaS型やパッケージ型WMSだけではなく、一から開発するフルスクラッチのシステム構築支援を行った事例もあります。
貴社にとって本当に必要な製品はどれか、選定・提案させていただきます。

強みその2.豊富な知識に基づいた広い視点での企画・提案ができる

これまで物流の改善企画を数多く支援してきた経験から、

・一般的な物流の仕組み
・物流現場の実情
・物流システム
・マテハン

など、物流業界の幅広い知識を持っているのは、Rally Growthの大きな強みです。
「課題が多岐にわたっていて、何から手をつけて良いかわからない」という場合でも、広い視点での企画・提案ができます。

WMSの選定を含む、お客様の支援事例
【プロジェクト概要】

・業態:製造小売
・取扱製品:アパレル
・従業員数:約35,000人
・導入目的:基幹システム・マテハン・WMSを連携させ、超省人化を実現させる

【プロジェクト背景】

6階建ての延床面積約10万㎡という巨大な専用物流倉庫を建設した同社は、マテリアルハンドリングメーカーと手を組み、RFID(無線自動識別)や自動倉庫、自動搬送機などを取り入れたプロジェクトを発足しました。

【支援内容】

弊社も当プロジェクトに参画し、主に以下3つの支援をさせていただきました。
・新倉庫の構想策定
・マテハンの選定
・WMSの選定

最適なベンダーを探すべく、ベンダー選定に先立って多種多様なマテハンを活用したオペレーションの設計を行っていましたが、既存のクラウド製品ではマテハンとの連携はもちろん、同社の基幹システムとの連携も難しかったため、オンプレミス型かつフルスクラッチでのシステム構築に踏み切りました。結果として大規模な物流倉庫の立ち上げに成功し、今では日本最大級の省人化倉庫として日々稼働しています。

(その他のご支援事例)

エム・シー・ヘルスケアホールディングス株 新物流システム構想策定 ご支援後インタビュー

>>Rally Growthの支援事例をさらに詳しく見る

記事内で繰り返しお伝えしてきたとおり、WMSの導入には長期的にコストがかかり、総コストが数千万~数億円にのぼる可能性もあります。

多額の予算を割いてWMSを導入しても、機能を思うように使いこなせなければ、倉庫業務の改善に十分な効果を発揮させられません。

「WMSを導入すると決めたが、実際に契約するとなると候補を1つに絞れない」
「絶対に失敗したくない」

と考えている方こそ、まずはお気軽にお問い合わせください。

相談

以下よりRally Growthのサービス資料もご請求いただけます。

ご支援の全体像や具体的なご支援プランを掲載していますので、物流を中心としたDX支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。

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6.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼タイプ別・WMSの費用相場

【SaaS型】

予算イメージ(5年間利用した総コストの相場):1,300万円~
イニシャルコスト:100万円~
ランニングコスト:月額20万円~

【パッケージ型】

予算イメージ:6,000万円~
イニシャルコスト:数千万円~
ランニングコスト:開発費の10%程度+年間300万円~

【スクラッチ型】

予算イメージ:1億3,000万円~
イニシャルコスト:数千万〜数億円
ランニングコスト:開発費の10%程度+年間500万円~

▼WMS導入時に追加でかかる可能性がある費用

・機器レンタルor購入費用
・データ移行支援
・運用支援
・追加カスタマイズ→「初期費用無料」を謳うベンダーの場合はこれらの費用が別途必要なケースもある

▼WMSの導入に費用面で失敗しないための注意点

・「初期費用の安さ」に飛びつくのは危険
・実際にかかる費用が相場から大きく外れる場合もある
・事前に自社の要件定義・現状分析をしないと追加費用がかかるリスクがある→表面的な費用の安さよりも、長期的な費用対効果を重視する

▼お勧めWMS8選

【SaaS型WMS】

W3 mimosa
タナヨミ

【カスタマイズ性が低い~普通程度のパッケージ型WMS】
Xble
クラウドトーマス
クラウドトーマスPro
Air Logi
ci.Himalayas/R2

【カスタマイズ性が高いパッケージ型WMS】

ONEsLOGI 物流センター管理システム
Logistics Station iWMS® G5

→ベンダーの選定に迷う場合は専門家に相談するのがお勧め

本記事の内容が、貴社のWMS選びの参考になりましたら幸いです。

この記事を書いた人
安孫子悠介

安孫子悠介

Rally Note編集長 &Rally Growth株式会社 取締役。 専門はBtoB営業とマーケティング。KPI設計を含めた営業戦略・営業現場改善や、コンテンツマーケ、CRM、サイトUX改善などデジタルに強み。

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