クラウド型WMSお勧め9選!各製品の特徴や選び方をプロが徹底解説
「自社に最適なWMS(倉庫管理システム)はどれだろう…?」
「クラウドにすべきかオンプレミスにすべきか分からない…」
WMSの新規導入やリプレイスを検討するにあたり、そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?WMSと一口にいっても、製品数が多いことに加え、オンプレミス型やクラウド型といったシステムの提供形態の違いもあり、どの製品を選べば良いか迷われている方も多いと思います。
近年ではECサイトの発達による配送の小口化や人手不足など大きな変化に直面している物流業界。物流にまつわる様々なシステムが利用されていますが、そのなかでもサプライチェーンの要といわれる倉庫の管理に欠かせないのがWMSです。
ただ、製品選定の際に知名度や導入コストだけで判断をしたり、自社の業務や商習慣をよく知らないベンダーに依頼してしまっては、期待していた効果が得られない場合もありますので、導入の際はいくつかポイントを押さえておくことが必要です。
そこで今回はクラウド型WMSのそれぞれの特徴や、オンプレミス型との違い、WMSの選び方などについて解説していきます。自社に合ったクラウド型WMSを見つける際の手助けとなれば幸いです。
【記事監修】園田真之介
Rally Growth株式会社 代表取締役社長。株式会社FrameworxでSEとしてキャリアを形成後、株式会社BayCurrent Consultingを経て現職。専門は物流・ロジスティクス×IT領域。過去に大手アパレルの物流・倉庫最適化や大手自動車メーカーの物流システム刷新の案件をコンサルタントとして多数経験。2021年グロービス経営大学院卒(MBA)
Table of Contents
1.おすすめするクラウド型WMS 9選
早速おすすめするクラウド型WMSをご紹介していきます。製品ごとに特長が異なりますので詳しく見ていきましょう!
【おすすめするクラウド型WMS 9選】
1-1. 小~中規模におすすめ
①W3 mimosa
②Xble
③クラウドトーマス
1-2. 小~大規模におすすめ
④ロジザードZERO
⑤Air Logi
⑥ONEsLOGI / WMS
⑦COOOLa
1-3. 大規模におすすめ
⑧W3 SIRIUS
⑨SLIMS
1-1. 小~中規模におすすめ
①W3 mimosa
【特徴】
・Excelに似た管理画面で操作が覚えやすい
・最短一週間程度で導入が可能
「W3 mimosa(ミモザ)」は、ノンカスタマイズで即時導入が可能なWMSです。ロット管理機能や賞味期限管理機能など、150以上の機能を標準搭載しており、各業界の標準テンプレートを完備しています。
また高機能ながらも計算表ソフトのように直感的に操作が可能な管理画面となっており、システムに不慣れな方でも簡単に操作することができるUIとなっています。
最短1日でデモ環境が使える上、月額1万円から利用ができますので、まずは初期費用を抑えて物量や売り上げが増えたタイミングでプランを変更することも可能です。そのためまずはスモールスタートでWMSを利用したい小規模な事業者に向いていると言えるでしょう。
②Xble
(出典:https://www.seaos.co.jp/product/wms/xble.html)
【特徴】
・大がかりなシステム構築なしに、必要な機能を選ぶだけで導入可能
・従量課金で使った分だけの支払い
Xbleはロジスティクスのデジタル化を掲げる株式会社SEAOSの提供するWMSです。同社では大規模案件に対応するMr.Streamを主力製品として展開しておりますが、同製品をSaaS型にリニューアルしたのが「Xble」です。大がかりなシステム構築なしに、必要な機能を選ぶだけですぐに導入が可能という手軽さでありながら、衣類・食品・薬品・化粧品・通信端末など多様な現場で求められる機能を標準搭載しています。
料金体系も完全従量制となっており、毎月利用した分だけ支払えばよいため、閑散期はコストも最小限に抑えることができます。
ハンディターミナルなどの専用機器も不要でスマートフォンで操作が可能ですので、リーズナブルかつスピーディーに導入したい事業者に向いています。
③クラウドトーマス
(出典:https://xn--gckr5a9ce1k1c3h.jp/)
【特徴】
・複数の物流拠点に対応
・CSVまたはAPI連携で他システムとの連携が可能
クラウドトーマスは、業種業態を問わず様々な企業で導入されているWMSです。現場スタッフ数が1~15名ほどの小中規模の物流現場への導入実績が豊富ですが、複数の倉庫を運用している企業にも対応しており、汎用性が高いWMSになっています。
受注管理システムのネクストエンジンとAPI連携が可能な他、複数のシステムとCSV連携も可能です。これにより商品マスタ情報・入出庫情報・出荷完了情報などの受け渡しを行うことができるので、確認や作業の手間も大幅に減り、受注処理とWMSの使い勝手が各段に向上します。
またベンダーである株式会社関通は大規模で複雑なカスタマイズが必要な会社に向けても「クラウドトーマスPro」という製品もリリースされています。現場スタッフの数が多い、特殊な処理が必要といった企業は「クラウドトーマスPro」がおすすめです。
1-2. 小~大規模におすすめ
④ロジザードZERO
(出典:https://www.logizard-zero.com/)
【特徴】
・「IT導入補助金2023」補助金対象で導入費用軽減
・導入・稼働・運用において365日サポートが可能
ロジザードZEROはECに特化したWMSとなっており、クラウドWMSトップシェアで稼働数No.1を誇る製品です。EC倉庫の管理に必要な機能が標準で揃っており、導入したユーザーの約7割がノンカスタマイズで導入しています。
また経済産業省所管の「IT導入補助金対象ツール」として認定されており、中小企業や小規模事業者が導入する際に経費の一部を国に援助してもらえることができますので、導入費用を抑えたい小中規模の企業に向いているといえます。
契約すれば365日、電話またはメールにて、システムを熟知したサポートチームが質問に答えてくれるので、運用に困ったときはすぐに相談できるという点も大きな特徴のひとつです。
⑤AiR Logi
(出典:https://www.ec-zaiko.net/)
【特徴】
・EC事業者向けに特化
・モール・カートだけでなく宅配システム、後払いシステムとも連携
Air Logiは株式会社コマースロボティクスが運営しているクラウドWMSです。2023年2月時点で倉庫事業者102社、EC事業者1200社に導入とECを扱う倉庫に多く導入されております。EC物流研究所を運営する同社のノウハウが詰め込まれておりEC倉庫に必要な機能が充実しているほか、楽天などの主要なECモールとの連携も可能です。
またモールとの連携に加え、NP後払いやGMO後払いなどの後払いシステムとも連携しており、Air Logiから直接後払い一体型帳票を出力することで、事務作業の手間を削減し、ミスも防止することもできます。
⑥ONEsLOGI / WMS
(出典:https://sol.logisteed.com/solution/wms/cloud.html)
【特徴】
・オプションの「可視化」・「分析」システムが豊富
・複数拠点・荷主の在庫の一括管理が可能
ONEsLOGIを手掛けるロジスティードソリューションズ株式会社は日立グループの唯一のWMSに特化したシステム開発会社であり、日立グループの信頼性から多くの会社に導入されています。周辺ソリューションが充実しており人時生産性データから作業人員の配置最適化を実現する「ONEsLOGI/アナリティクス」や庫内の在庫状況をさまざまな視点で可視化、分析する「ONEsLOGI/Visualizer」などと連携することで業務改善につなげることも可能です。
そのほかにも短期間かつ低コストで導入が可能なことに加えて標準で複数の拠点倉庫・複数荷主の在庫情報を一つのシステムで一括管理ができることから、複数の倉庫・荷主を持つ大規模な事業者でも活用することができます。
⑦COOOLa
(出典:https://cooola.jp/)
【特徴】
・豊富な運用実績で開発ノウハウが豊富
・オプションで画像検品やBIツールを搭載
COOOlaは創業30年以上の歴史を持つ株式会社ブライセンによって開発されたWMSです。その豊富な運用実績、開発経験から「経営者が選ぶクラウド型倉庫管理システム部門」で3冠を受賞するなど多くの事業者に支持されています。顧客のニーズに合わせて機能を拡張したりといったカスタマイズも自由自在と柔軟性も持ち合わせています。
オプション機能としてBIツールも備えており「ABC析レポート」「在庫回転率」「KPI分析レポート」により、作業の生産性を向上させたり、リアルタイムに現状を把握できたりと経営や業務に役立てることも可能です。
1-3. 大規模におすすめ
⑧W3 SIRIUS
(出典:https://www.dialog-inc.com/top/business/warehouse_management_services/about_w3/)
【特徴】
・様々な業界に幅広く対応
・EC・卸の双方に対応
W3 SIRIUSは同社の「W3 mimosa」のハイエンドモデルでオムニチャネル、複数拠点の在庫⼀元管理を実現する高機能モデルとして高評価を獲得しています。標準機能が非常に充実しており、アパレルのサイズ・カラー、食品の消費期限・温度帯、高額品・電子製品等のロット・シリアル管理など多様な業界に対応できます。
またECや卸ではピック・アソート手法などが大きく異なりますが、オーダーピック・トータルピックアソートをはじめ、オーダーピッキングを複数纏められるマルチピックや、ECで価値を発揮する1ピーストータル、パターントータルといったオーダー特性に応じた振り分けが可能で、生産性が向上に役立てることが可能です。
⑨SLIMS
(出典:https://www.siscloud.jp/logistics-it-cloud/solution/slims/)
【特徴】
・様々な業界特性を標準装備
・同社の周辺システムとの連携に強み
SLIMSは株式会社セイノー情報サービスの強みである3PL事業や物流改善コンサルティングの経験と多くの顧客への導入実績に基づく、豊富なノウハウが活かされたWMSです。リアルタイムな進捗管理を中心とした運用管理機能と、マネジメントに必要な運営管理機能の両面を備えており、メーカーをはじめ、卸、小売、倉庫事業など幅広い業種の約400社に導入実績があります。
また同社は物流現場の様々なデータを可視化する「LOGISTICS・COCKPIT」や作業員の生産性を可視化する「作業員管理 FLabor」など様々なソリューションを開発しており、それらと組み合わせて業務改善を実施することが可能です。
いかがでしたでしょうか。ここまではおすすめするクラウド型WMSをご紹介してきましたが、オンプレミス型のWMSとどちらが良いのか悩まれる方もいらっしゃると思います。そこで次章ではクラウド型とオンプレミス型の違いについて解説していきます。
【ご参考】WMSに搭載されている機能については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
2.クラウド型WMSとオンプレミス型WMSの違い
WMSを選定する上でコストや納期、品質など様々なことを考慮しなければなりませんが、なかでも大きな違いはシステムの利用形態です。大きくクラウド型とオンプレミス型とで分かれますが、それぞれに特徴やメリット・デメリットがありますので、それらを理解した上でシステムを選択することでより効果的な運用が実現できます。それでは両者の大きな違いについて5つ挙げておりますので詳しく見ていきましょう。
2-1クラウド・オンプレミスの違い5点
2-1-1. 違いその1:イニシャルコスト
クラウド型とオンプレミス型の大きな違いの1つとしてイニシャルコストが挙げられます。オンプレミスはサーバー本体や周辺機器などのハードウェア、それからシステムなどのソフトウェアを自社で購入するため、イニシャルコストとして数千万円、場合によっては数億円という多額の費用が発生します。
対してクラウドはオンプレミスのようなサーバー環境に必要なシステムを購入する必要がありません。仮想空間上にサーバーを構築するため、サーバー本体や設置場所などの物理的リソースは不要になります。したがってオンプレミスに比べてイニシャルコストを安く抑えることができます。
2-1-2. 違いその2:ランニングコスト
2つ目の違いはランニングコストです。オンプレミスは日々の運用のための人件費やサーバーの電気代、通信費などが発生することに加えサーバー環境などが固定資産として扱われ、固定資産税の課税対象になる場合もあります。
クラウドの場合、サーバーなどの管理費はすべてサービス料に含まれているため、管理費や維持費は不要です。また料金体系の多くは「従量制」となっていますので、使用量が少ないユーザーはコスト削減に繋がります。ソフトウェアのアップデートも原則ベンダー側で行われますので、ユーザーは運用管理の負担も減らすことができます。
2-1-3. 違いその3:構築期間
3つ目の違いはシステムの構築期間です。オンプレミスはハードウェア・ソフトウェアを自社で準備したのち、設定・テストまで自社で行う必要があることから、運用開始までに1年以上かかることが一般的です。
対してクラウドはサービスを契約するだけで運用を開始することができるため、インターネット環境さえあればその日のうちに利用することも可能です。そのためシステム導入に掛かる時間、手間を減らしたい方はクラウドを選ぶことをおすすめします。
2-1-4. 違いその4:カスタマイズ性
4つ目の違いはカスタマイズ性です。オンプレミスはサーバーやアプリケーションを自社で設計する運用方法であるため、自社のニーズを直接反映させ自由にカスタマイズすることができます。
対してクラウドは事業者が提供するサービスをそのまま利用する形態であり、ニーズに応じて細かく調整することには一定の制限があります。
このことから、オンプレミスはカスタマイズ性に優れている一方で、クラウドは細かなカスタマイズは難しいといえるでしょう。ただ、クラウド型のWMSにも業界・業態に特化したものがあるため自社にマッチする製品が見つかるかもしれません。
2-1-5. 違いその5:セキュリティの安全性
5つの目の違いはセキュリティです。オンプレミスは、自社のネットワークシステムを利用して運用されるため、サーバー利用者は自社内に限定されます。したがって限定されたネットワーク内での利用は、第三者が入りにくく、セキュリティを強化することが可能です。
一方クラウドはサービス事業者のセキュリティポリシーに依存するため、セキュリティリスクの観点からクラウドを躊躇する企業も少なくありません。単純な比較であればオンプレミスに軍配が上がるものの、近年ではクラウドサービスを提供している会社はセキュリティ強化に注力しているため、その差は年々縮まってきているといえるでしょう。
セキュリティ面で不安を持たれている企業は、HP等から各社の取り組みをご確認頂くことをおすすめします。
クラウド・オンプレミスの違いについて解説しましたが、それぞれどのような企業に向いているでしょうか。これまで解説してきた両者の特徴から向き不向きを解説します。
2-2. クラウドが向いている企業・オンプレミスが向いている企業
クラウド・オンプレミスの違いについて解説しましたが、それぞれどのような企業に向いているでしょうか。これまで解説してきた両者の特徴から向き不向きを解説します。
2-2-1. クラウドが向いている企業
クラウドが向いている企業として、主に以下のような企業が挙げられます。
・費用を抑えたい企業
・早期にサービスを利用したい企業
クラウドの魅力はなんといってもコストの低さです。そのためハードウェアの購入やソフトウェアインストールに掛かるイニシャルコストや日々の運用のためのランニングコストを抑えたい企業におすすめです。
加えてオンプレミスに比べて安易かつ短期間で導入が可能なため、既存業務をクラウドの製品に合わせることができれば、すぐさまサービスを利用することができます。
また万が一導入した製品が自社に合わないと判断すれば、比較的簡単に契約解除が可能なため、その後費用は発生しません*ので、サーバーを自社でも持つオンプレミスに比べて気軽に導入することもできるでしょう。
*ベンダーとの契約内容により違約金が発生するケースもあります
2-2-2. オンプレミスが向いている企業
対してオンプレミスが向いている企業として、主に以下が挙げられます。
・自社の業務に合わせて柔軟にカスタマイズがしたい企業
・社内ネットワークを使用したい企業
システム構築における自由度の高さから、自社独自のシステムと連携したいなど、自由にカスタマイズしたい場合はオンプレミスが適しているでしょう。
またセキュリティ面に関しても自社で独自のセキュリティ対策が可能であり、閉域網での運用により堅固なセキュリティを構築できるということから、大量の機密情報を扱う企業、厳しいセキュリティ対策が必要な企業もオンプレミスが向いているといえます。
2-3. これから導入するならクラウドがおすすめ
これまでクラウド、オンプレミスのそれぞれの違いについて説明しましたが、前述の通り近年ではクラウドの弱点であった「セキュリティ」も堅固になりつつあり、クラウド型のWMSを導入する企業もますます増えています。そのほかにもいくつかクラウド特有のメリットもありますのでご紹介します。
・優れた拡張性
もしシステムの変更や処理能力の向上・容量の増設を図りたい場合、オンプレミスであればサーバーの再構築が必要となるため、ある程度のコスト・時間が必要となります。
その点クラウドであれば、利用しているサービスのオプション画面から容量の増設やプランの変更を行うことができるため、オンプレミスに比べて費用、時間もかかりません。状況に応じて柔軟かつスピーディーにこういった対応ができるのはオンプレミスにはないクラウドの大きな利点の一つとなります。
・リモートワークへの対応
在宅勤務などのリモートワーク時においてもセキュアな環境でネットワークにアクセスできるということも大きなメリットです。オンプレミスのサービスに外部からアクセスするためにはVPN敷設やセキュリティ対策が必要であることからコストがかかります。
対してクラウドの場合はインターネット環境が整ってさえいれば、いつでも・どこからでも利用が可能です。セキュリティを心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、サービス提供者によって多要素認証などセキュリティ対策が施されている場合も多く、安全性も担保されています。
・BCP対策
最後にクラウドはBCP対策になるという点です。これまでオンプレミスの方がBCP対策に適していると考えられていましたが、データのバックアップができる点からクラウドが重要視されてきています。クラウドサービスのサーバーはデータセンターに置かれていることが多く、自然災害にも強い構造となっているので、自社でサーバーを保管するよりも安全にデータを守ることができるでしょう。
ここまでオンプレミスとクラウドの違いについてご紹介してきました。次章ではWMSの選び方について解説していきます。
3. おすすめするWMSの選び方
前章で述べた通り、より便利で使いやすく、スピーディーに導入が可能なクラウド型のWMSですが、ラインナップが多いことから自社の課題・目的に沿って製品を選定できなければ導入効果が薄くなってしまいます。
ではどのようなことを考慮して製品を選ぶべきなのでしょうか。以下にポイントをまとめましたのでそれぞれ見ていきましょう。
3-1. 自社の業種・業態にマッチしているか
WMSは業態・業種によって異なる機能を有しています。例えば食品を扱う企業であれば「消費期限管理」や冷凍や冷蔵などの異なる温度帯で管理ができる「温度管理機能」が必須となり、医薬品を扱う企業であれば古い順に在庫を出荷していくための「ロット管理機能」が必須となりますので、それらの機能が備わっているWMSを選定することが不可欠となります。
また選定する製品・ベンダーが自社の領域に対して導入実績があるのかも確認しておきましょう。豊富な導入実績があれば、自社に適した機能を有している可能性は高く、ベンダー側も過去のノウハウを蓄積していますので、業務課題にマッチした提案を受けることができることでしょう。
3-2.自社の規模にマッチしているか
自社の企業規模にマッチしているか否かも必ず確認をしましょう。WMSは小規模な事業者向けにスマートフォンなどで手軽に始められるものから、国内外に複数の倉庫を一元管理できる大規模向けのものまで様々です。必要以上の機能があることで無駄にコストがかかってしまったり、トランザクション量が多いが故にデータ容量が不足してしまうという事態にならないように、使用するユーザー数や拠点数、物量などを考慮した上で製品を選定するようにしましょう。
3-3.拡張性は十分か
小規模な事業者であっても、将来人員や物量が増大する可能性もあることでしょう。そういったときに拡張性の乏しい製品を選んでしまっては、システムの入れ替えをせざるを得なくなってしまいます。そのため導入当時の状況だけでなく、先を見据えて拡張することが可能かどうかも考慮する必要があります。
WMSは長期にわたって使用されるものですので、現状必要ない場合でも今後ビジネスが拡大した際にもシステムが足かせにならないように、必ず十分な拡張性を有しているか確認するようにしましょう。
3-4.他システムと連携は可能か
単独で導入されることも多いWMSですが、基幹システムや受発注システムなどの他のシステムと連携することで大きな力を発揮します。例えばEC事業者であれば楽天やYahoo! Shoppingなどの通販モールと連携していれば出荷作業をスムーズに行うことができ、出荷できるタイミングを早めることができます。
自社の全てのシステムと連携させることは難しいかもしれませんが、重要となる基幹システムとの連携の要否は必ず確認が必要です。
3-5.サポート体制は充実しているか
WMS導入直後の慣れない間は予期せぬトラブルが起きることが少なくありません。「万が一に備えて迅速に対応してくれるベンダーなのか」、「365日電話によるサポートは行っているのか」など十分なサポート体制が敷かれているか確認するようにしましょう。
なお月々のシステム使用料にサポート費用が含まれているベンダーもあれば、サポートそのものに費用がかかるベンダーもいますのでサポート内容と合わせて料金設定も確認することをおすすめします。
3-6.使いやすいUIか
WMSを利用する人の多くは現場の作業担当者です。作業が標準化される一方でシステムを扱うことが苦手な人や抵抗を覚える人も少なくありません。WMSを導入したことでかえって業務がしづらくなるようであれば逆効果になってしまいますので、操作が分かりやすいシステムを選ぶようにしましょう。
なかには無料トライアル期間を設けている製品もあります。UIに不安があればトライアルを経た上で判断をすることも可能ですので、積極的に活用することをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。ここではWMSの選び方について説明しました。次章では過去に弊社が支援したWMSの導入事例について紹介します。
4.クラウド型WMSの導入成功事例
本章では実際にWMSを導入した結果、どのようなメリットを得られたのか、過去の事例をもとにご紹介していきます。
【プロジェクト概要】
・業態:小売
・取扱製品:メガネ・コンタクトレンズ
・従業員数:約1,000人
・導入目的:
①過剰在庫を削減すること
②滞留在庫を正確に把握すること
③リコール対象や不良品を正確にトレースすること
【導入前の課題】
課題①
これまで在庫管理をExcelで行っていましたが、特にコンタクトレンズは使用期限が定められていることから厳密な管理が求められる他、定められた期間を超えて保管されているものは廃棄しなければなりません。
それらは滞留在庫として廃棄し、廃棄損として計上する必要があるため正確な在庫管理が求められますが、通常の在庫管理に加えて消費期限管理もExcelで行うことに難しさを感じていました。
課題②
さらに同社の業務でネックとなっていたのが、返品や不良品によるリコールを想定してトレーサビリティに対応しなければならないという点です。トレーサビリティを確保するには各々の商品と賞味期限・ロット番号を紐付け、作業履歴や出荷先も管理する必要がありますが、それらの煩雑な業務もマニュアルで行っておりました。
【導入後の効果】
・ 滞留在庫の正確な把握が可能になり、さらには廃棄の低減に成功
まず、入出荷の実績や当日の作業進捗状況など、重要指標の成果進捗が見える化したことが大きな効果を生みました。在庫の荷動きが可視化されたことで、滞留在庫を早期に検知することが可能になり、抑止対策が立てられるようになったのです。
これに加えシステム上で計上される正確な数字をもとにして発注計画が立てられるようになったことから、無駄な発注が減り滞留在庫を削減することができるようになりました。
・ ハンディやスマホでの入出荷作業により生産性向上
入出荷時の検品やロケーション移動、また棚卸などの業務にはハンディターミナルやスマートフォンが活用されるようになり、これまでマニュアルで行っていた庫内作業がグッと楽になりました。
またハンディターミナルを活用することで端末から作業履歴を確認することが可能になり、そこから作業員の生産性を分析し将来の人員計画に役立てることもできるようになりました。
・ ロット管理機能・賞味期限管理機能により効果的な管理、正確なトレースが可能に
同社が導入したWMSは「消費期限管理機能」や「ロット管理機能」も標準搭載されており、これまで同社の大きな課題であったコンタクトレンズの消費期限管理をシステムで管理することができるようになりました。
これにより出荷期限のチェックが可能になり誤出荷が少なくなった他、「ロット管理機能」で出荷する製品を製造日で管理することが可能になりました。万が一商品に不具合が発生しても、同じ日に製造された商品の特定が簡単にできるので、不具合品の回収などもスムーズに行えるようになりました。
いかがでしたでしょうか。WMSの導入により在庫管理や倉庫業務を正確に行えるだけでなく、システムに蓄積された正しいデータをもとに需要を予測することも可能になることから、自社にあった製品を選定することができれば大幅な業務改善が期待できるでしょう。
続く5章ではクラウド型WMSを導入する際にコンサルへの相談をおすすめする理由をご説明します。
5.クラウド型WMSの導入を検討するならコンサルへの相談がおすすめ
ではいざWMSの導入を検討しようとなった際ですが、まずはコンサル会社に相談してみることをおすすめします。なぜなら製品選定に前後には大きく以下の作業が発生することから、全て自社内で賄おうとすると社内のリソースが不足してしまう場合が多いからです。また、そもそも専門的な知見を持ち合わせていないために思っていた導入効果が得られないという状況になってしまう可能性もあるでしょう。
【WMS導入までのステップ】
・現状分析(導入目的を明確にする)
・To-Be像の整理
・ベンダー選定
・要件定義
・テスト
・移行 / 導入
例えば①の現状分析をとっても入出庫や在庫などから物流データを分析したり、作業実績から生産性を分析したりと非常に多くの作業が発生します。特に複数倉庫を運営している場合や、扱っている物量が大きい会社であれば、社内のリソースが逼迫してしまい、通常業務に影響を及ぼす可能性も否定できません。
加えて、前述の通りWMSは提供するベンダーによって対象規模が決まっているものや、特定の業種や業界に特化したものがあります。その製品が、どのような規模・業界を対象としているかを把握しておかないと、自社に不要な機能が多くあったり、過剰なカスタマイズが発生してしまったりと無駄なコストをかけてしまうことにもなりかねません。その点、広い視点かつ専門的な知見を持つコンサル会社に相談できれば自社にぴったりなWMSを選定するためのサポートをしてくれますので、導入に悩んでいる、またどのベンダーにすればよいか分からないといった際はまずはコンサル会社に相談することをおすすめします。
【ご参考】
物流ITコンサルティングのサービス内容や具体的な支援内容については以下の記事にてご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
6.クラウド型WMSの導入を依頼するならRally Growthがおすすめ
2021年7月に創立したRally Growthは、現在は7人のメンバーでミドルマーケットを中心としたDX化や新規事業構築支援を行っています。代表の園田を中心に物流業界に知見のあるメンバーが集まっており、主に物流DXに関連する案件を中心に、複数の企業を支援しています。
Rally Growthの特徴として大きく以下3点が挙げられます。
・物流の仕組みや物流現場に加え、ビジネスの上流工程にも深い理解を持つ
・物流改善の企画を多数実施してきた経験
・スピード感をもって期待に応える高い機動力と柔軟性
6-1. 物流の仕組みや物流現場に加え、ビジネスの上流工程にも深い理解を持つ
代表の園田を中心に過去に物流の改善企画を多数支援してきているため、一般的な物流の仕組みや物流現場の実情、そして物流システムやマテハンなどの知識が豊富です。また大手コンサルファーム等で物流に関するビジネスの上流から課題解決を支援してきているため、ビジネスの上流工程にも深い理解を持っています。
WMSの導入についても多くの支援実績がございます。
課題が何か、何から手をつければ良いのか、初期段階で悩んでいる状態でもフラットに相談が可能です。
6-2. 物流改善の企画を多数実施してきた経験
前述の通り多くの物流現場の改善支援をしてきているため、改善企画を提案する際に絵に描いた餅にならない、きめ細やかな分析・企画立案が可能です。
また弊社ではクラウド型のWMSに限らず、オンプレミス型かつフルスクラッチのシステム構築支援も行っています。参考までにフルスクラッチでお客様を支援した事例もご参照下さい。
【プロジェクト概要】
・業態:製造小売
・取扱製品:アパレル
・従業員数:約35,000人
・導入目的:
①様々なマテハンとの連携を可能にすること
②基幹システムとの連携を可能にすること
③業務に合わせてWMSを構築すること
【プロジェクト背景】
6階建ての延床面積約11万㎡という巨大な専用物流倉庫を建設した同社は、マテリアルハンドリングメーカーと手を組み、RFID(無線自動識別)や自動倉庫、自動搬送機などを取り入れた超省人化を実現させるプロジェクトを発足しました。
【弊社の実績】
弊社も当プロジェクトに参画し、主に以下3つの支援をさせて頂きました。
・新倉庫の構想策定
・マテハンベンダー選定
・WMSベンダーの選定
最適なベンダーを探すべく、ベンダー選定に先立って多種多様なマテハンを活用したオペレーションの設計を行っておりましたが、吊るしのクラウド製品ではマテハンとの連携はもちろん、同社の基幹システムとの連携も難しかったため、オンプレミス型かつフルスクラッチでのシステム構築に踏み切りました。
結果として大規模なB2B、B2Cビジネスを支える物流倉庫の立ち上げに成功し、今では日本最大級の省人化倉庫として日々稼働しています。
6-3. スピード感をもって期待に応える高い機動力と柔軟性
Rally Growthでは成果を早期に求める事業会社の支援にはスピード感や機動力・柔軟性が重要と考えているため、依頼されたことは最大限スピード感をもって対応することや、クライアント社内のコミュニケーションを円滑に進めるための支援なども積極的に行っています。
また抽象的な悩み、まだふわふわしていて相談して良いかも分からない状態からの相談にも対応する柔軟性を心掛けています。少しでもお悩みであれば是非お声がけください。
【お問い合わせ先】
Rally Growth株式会社への物流に関するコンサルティング案件のご相談はこちらより承っております。ぜひお気軽にご相談ください。【資料請求】
以下よりRally Growthのサービス資料もご請求いただけます。
ご支援の全体像や具体的なご支援プランを掲載していますので、物流を中心としたDX支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。
<Rally Growth サービス資料イメージ>
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では主に以下3点についてご紹介してきました。
◆優れた拡張性やBCP対策になるという点で、クラウド型のWMSがおすすめ
◆WMSを選定する際は自社の規模や業態、他システムとの連携の有無を考慮することが必要
◆WMS導入に際して物流コンサルティングに依頼するのであれば、物流の仕組みや物流現場に加え、ビジネスの上流工程にも深い理解を持つ会社に相談することがおすすめ
WMSの導入を検討されている皆さんの助けになれれば幸いです。
- この記事を書いた人
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Rally Growth株式会社 4人目の社員。 物流領域のなかでも輸送系に強み。Rally Growthへ参画後は新会社立ち上げプロジェクトや物流改革プロジェクトの支援を経験。
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