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物流におけるマテハンとは?代表的な機器12種を画像で紹介

カテゴリー:logistics
公開日: / 更新日:
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マテハンとは 物流

物流業界でよく使われる「マテハン」という用語ですが、

「具体的にどのようなものを指す用語なのか?何がマテハンで何がマテハンではないのか、境目がわからない」
「改めて『マテハンとは何か』と聞かれると、はっきり説明できない」

といった認識が曖昧になっている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、物流業界においてマテハンとは物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する機器をひとまとめにした呼び方であり、昔ながらのフォークリフトから最新の物流ロボットまですべて「マテハン」に該当します。

 

物流業界におけるマテハンとは?
マテハンの定義
物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する仕組みや機器の総称
マテハンの種類
  • フォークリフト
  • コンベア
  • 自動倉庫
  • AGV(無人搬送車)
  • ソーター
  • ピッキングロボット など

→昔ながらの機械から最新のロボットまで、すべてまとめて「マテハン」と呼ぶ

マテハンを導入する重要性(メリット)
物流業務を自動化し人手を抑えて運用できるようにする

  • 人手不足の解消
  • 人件費削減による長期的なコストカット
  • 従業員のけがや事故のリスク軽減 など

・労働人口の減少
・物流の小口/多頻度化
・EC市場の拡大

といった数多くの課題を抱える物流業界では、業務の自動化・省人化への関心が高まっており、マテハンの導入・刷新を真剣に検討する企業が増えています。

しかしその一方で、ROI(投資対効果)の見極めや機械化する範囲と人が行う範囲の見極めといった判断が難しく、「マテハンによる自動化は重要だが簡単には踏み切れない」というのが多くの物流現場の実情です。

本記事では、「物流業界におけるマテハンとは何か」を改めて整理したい方に向けて、

・マテハンの定義
・マテハンの役割
・マテハン機器の種類
・物流倉庫にマテハンを導入するメリット・デメリット

といった知識をわかりやすく解説します。

マテハン導入の可否にかかわらず、今後の物流業界を見据えるうえで重要な情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.物流業界におけるマテハンとは

物流業界 マテハン

まずは、物流業界におけるマテハンとは何かについて、以下の順に解説します。

・マテハンとは物流業務の省人化・品質向上を促進する機器の総称
・代表的なマテハンの一例
・物流業界におけるマテハン導入(刷新)の重要性

本章の内容を読めば「マテハンとはこういうもの」というイメージを明確に整理できるようになりますので、ぜひじっくりとご覧ください。

1-1.マテハンとは物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する仕組みや機器の総称

物流業界におけるマテハンとは、「物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する仕組みや機器の総称」です。

物を運ぶ・仕分けるといった倉庫内の作業を、人の代わりに自動で行う仕組みや装置のことを指して「マテハン」と呼びます。

マテハン イメージ

【物流用語「マテハン」とはどう使う?例文でイメージ】

  • 台車を使って物を運んでいたA社の倉庫が、パレットやコンテナを搬送するマテハン「フォークリフト」を導入し、作業スピードを3倍に向上させた
  • B社の倉庫では出荷時の仕分けを手作業で行っており、人手不足や仕分けミスによる誤出荷が課題となっている。課題の解決法として、自動で仕分けを行うマテハン「ソーター」の導入を検討している。

このように、今日の物流現場では人が行っていた運搬・仕分け・保管などの物流業務を自動化するための機器全般を指して「マテハン」と呼んでいます。

本来マテハンとは、物の移動や仕分けなどの取り扱いそのものを表す「マテリアルハンドリング(Material handling)」の略称として製造業や物流業の間で使われてきた用語ですが、現代ではそれらの作業に使う機器のことを「マテハン」と呼ぶのが一般的になりました。

今日の物流業界においては、マテハン機器のことを指してマテハンと呼ぶ場合が多いため、「マテハンとは物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する仕組みや機器の総称である」と認識しておくと良いでしょう。

1-2.代表的なマテハンの一例

物流現場で使われる代表的なマテハンには、以下のようなものがあります。

倉庫内で使われる代表的なマテハンの例
第1世代:作業支援型マテハン
人が運転するフォークリフトやスイッチで動かすコンベア・シャッターなど、人の手と機械で操作が完結する昔ながらのマテハン

作業支援型マテハン

第2世代:協働型マテハン
システム(WCS・WMS)と連携して人間が指示を出し稼働させる

既存のマテハンではできなかった複雑・高度な動作が可能に

協働型マテハン

第3世代:自律型マテハン(物流ロボット)
システムとのデータ連携に加え、移動ルートの選択・障害物の回避などを自ら判断して自律的に動く

自律型マテハン

※ここで紹介する「第1〜第3世代」は、マテハンをわかりやすく説明するための便宜的な区分であり、物流業界で正式に使われている分類ではありません

マテハンと呼ばれる機器の定義は非常に幅広く、古くから倉庫現場で使われているコンベヤやフォークリフトもマテハンに含まれますが、一般的にはシステムと連携する機器(上の図における第2~第3世代)をマテハンと呼ぶことが多いです。

各機器の詳しい特徴や機能については、次章「2.マテハン機器の種類【業務工程別】」で解説します。

1-3.物流業界におけるマテハン導入(刷新)の重要性

物流業界においては、多くの現場がマテハン機器の導入・刷新を真剣に検討すべき段階にあります。

今日の物流現場では

・労働人口の減少
・人件費の高騰
・物流の小口/多頻度化
・EC市場の拡大

といった数多くの課題を抱えており、人手に依存した物流オペレーションは限界を迎えつつあります。

今後人件費の高騰によりコスト増が直撃することや、採用難によるシフト組みが難化することを考えすると、既存のオペレーションを継続できない可能性が高いです。

また、安全性や生産性などKPIを満たしていないことで株主から厳しい評価を受ける恐れもあるため、物流業務の自動化推進はもはや業務上の課題ではなく経営課題そのものであるとも言えます。

このような背景から、マテハンの導入・刷新による

・人手不足の解消
・人件費削減による長期的なコストカット
・従業員のけがや事故のリスク軽減 

といった効果に期待と関心が高まっており、実際に新たなマテハンの導入を検討する企業が増えている状況です。

実際に、日本ロジスティクスシステム協会が行った調査では、マテハン機器の総売上金額は長期的には上昇傾向にあり、マテハン市場が拡大していることがわかります。

マテハン機器 売上高推移

参考:公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会「2024年度 物流システム機器生産出荷統計

一方で、ROI(投資対効果)の見極めや「機械化する範囲」と「人が行う範囲」の見極めといった判断が難しく、「マテハン導入による自動化の重要性はわかっているが実行には至っていない」という現場も少なくありません。

このような状況を踏まえると、「自社の優位性に直結する部分はどこか」「自動化することでその優位性を高められるか」を第一優先で考えることが、今後の物流業界における最も重要な経営判断と言えるでしょう。

物流ITコンサルティングサービスを提供する「Rally Growth」では、マテハンの選定やシステム連携をはじめとする物流DXの支援を行っています。

今後の物流業務の自動化推進について不安や迷いがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

>>Rally Growth無料相談フォーム

2.マテハン機器の種類【業務工程別】

マテハン機器 種類

続いては、マテハン機器の種類を業務工程別に紹介します。

マテハン機器の種類
業務工程 マテハン機器
搬送
  • AGV(無人搬送車)
  • 天井走行型無人搬送機
  • RGV(有軌道無人搬送車)
  • AMR(自律走行搬送ロボット)
  • AGF(無人フォークリフト)
保管
  • 自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)
  • シャトル型自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)
仕分け
  • ソーター(ケース仕分け・ピース仕分け)
  • DAS/GAS
ピッキング
  • ピッキングシステム(GTP型・ピースピック)
積付・荷降
  • パレタイザ/デパレタイザ
  • バンニング/デバンニング

各機器の役割や画像を交えて解説しますので、実際のマテハン機器にはどのようなものがあるのか、具体的に把握していきましょう。

なお、本章では今後の導入検討に役立つ情報として機器を紹介するため、有人フォークリフトやコンベアなど従来型のマテハンについては紹介を割愛しています。あらかじめご了承ください。

2-1.搬送作業に使うマテハン

まずは、搬送作業に使う5種のマテハンをご紹介します。

・AGV(無人搬送車)
・天井走行型無人搬送機
・RGV(有軌道無人搬送車)
・AMR(自律走行搬送ロボット)
・AGF(無人フォークリフト)

搬送作業の自動化にご興味がある企業様はぜひご一読ください。

2-1-1.AGV(無人搬送車)

AGV

AGV(無人搬送車)とは、Automated(Automatic) Guided Vehicleの略称で、倉庫内の商品を指定された場所まで人の手を使わず自動で運ぶ搬送車のことを指します。

搬送業務を自動化させることで、倉庫の省人化や作業員の負担軽減・安全性の向上といった効果が期待できるマテハンです。

AGV(無人搬送車)とは?
特徴 床の磁気テープや誘導テープ、反射板を読み取って、あらかじめ設定されたルートを走行するのが一般的
期待できる効果
  • 入出荷やロケーション移動で商品を動かす際、従業員が台車やフォークリフトを使って運ぶ必要がなくなる
  • 重い荷物の運搬、広い倉庫内の移動といった負担を軽減するだけではなく、狭い通路を行き来することで発生する接触事故のリスクも低減できる
お勧めメーカー・製品

2-1-2.天井走行型無人搬送機

天井走行型無人搬送機

画像出典:椿本チエイン「天井搬送システム オートランバンガード®

天井走行型無人搬送機とは、天井に設置したレールの上を走行し荷物を運ぶ搬送車のことです。

天井空間を有効活用でき、床面を走るAGVよりも最短距離での搬送や柔軟なレイアウトが可能になるといったメリットがあります。

天井走行型無人搬送機とは?
特徴 天井に設置したレールを台車が走行する、モノレール型のAGV
期待できる効果 天井空間を活かした搬送業務の自動化
お勧めメーカー・製品

2-1-3.RGV(有軌道無人搬送車)

RGV

画像出典:ダイフク「高速仕分け搬送台車『ソーティングトランスビークル』

RGV(有軌道無人搬送車)とは、Rail Guided Vehicleの略称で、床に設置したレールの上を走らせ倉庫内の商品を運ぶ搬送車です。

搬送車の走行エリアにレールを設置する分、AGVと比べてスペースが必要かつコストがかさみやすいですが、横荷重に強くスピードが出しやすいといったメリットもあります。

RGV(有軌道無人搬送車)とは?
特徴 床に設置したレールの上を台車が走行する、有軌道の無人搬送車
期待できる効果 スピーディーかつ安定した搬送
お勧めメーカー・製品

2-1-4.AMR(自律走行搬送ロボット)

AMR

画像出典:ラピュタロボティクス「AMR導入事例 ホンダロジコム株式会社

AMR(自律走行搬送ロボット)とは、Autonomous Mobile Robotの略称で、自らルートを決めて荷物を運搬する物流ロボットです。

AGVが固定されたルートを走行するのに対し、AMRはルートを自動算出して移動します。

障害物の回避やルート変更を自律的に行うことから「次世代AGV」として注目されているマテハンで、倉庫業務自動化のスモールスタートとしてポイントでの導入が人気です。

AMR(自律走行搬送ロボット)とは?
特徴
  • 地図作成(SLAM技術)やセンサー(LiDAR、カメラ)を使って、倉庫内を自由に移動できる自律移動型ロボット
  • ルートをその場で判断し、障害物を避けて目的地に到達できる
期待できる効果 倉庫内のピッキングや柔軟な搬送など、AGVが苦手な「変化する環境」での活躍が期待できる
お勧めメーカー・製品

2-1-5.AGF(無人フォークリフト)

AGF

画像出典:トヨタL&F「Rinova AGF

AGF(無人フォークリフト)とは、Automated Guided Forkliftの略称で、コンピューター制御で動く無人搬送フォークリフトのことを指します。

運転に資格が必要なフォークリフトでの業務を自動化できるため、倉庫業務において深刻な課題である人手不足の解消が期待できるだけではなく、運転手不要のため従業員が事故に遭うリスクも低減できることが特徴です。

AGF(無人フォークリフト)とは?
特徴
  • 自動運転で動く無人搬送フォークリフト
  • 単に商品を搬送するだけでなく、パレットを差してピックする・保管する等の動きにも対応できる
期待できる効果
  • 搬送業務の省人化
  • 事故(操作ミスによる転倒・接触事故など)の低減
お勧めメーカー・製品

AGFはAMRと同様、倉庫の自動化を小さく始めたい企業からポイントでの導入が人気のマテハンですが、現在の技術では作業のスピードがまだまだ遅いという課題もあります。

人が運転するフォークリフトが時速10~15kmほどまでスピードを出せるのに対し、AGF(無人搬送フォークリフト)の運転速度は時速5~8kmほどで、場合によっては自動化によって作業スピードが落ちるケースもあるため、生産性の向上についてはあまり期待できないと考えておくのがベターでしょう。

2-2.保管作業に使うマテハン

ここでは、保管作業に使う2種のマテハンをご紹介します。

・自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)
・シャトル型自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)

自動倉庫は、倉庫内の上部まで荷物を積むことで保管効率が圧倒的に良くなる・ピッキング等の作業が減ることで保管費・荷役費の削減が期待できるといったメリットがあり、中堅規模の企業に人気が高いマテハンです。

ただし大掛かりな導入になるため、予算にゆとりのない企業や小規模倉庫への導入は現実的ではないという側面もあります。

こうした特徴を踏まえたうえで、自動倉庫の導入に興味のある企業様は、ぜひご一読ください。

2-2-1.自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)

自動倉庫

画像出典:ダイフク「パレット立体自動倉庫『コンパクトシステム』

自動倉庫とは、原料の載ったパレット・部品の入ったコンテナ・製品の段ボールケースなど、さまざまな荷物をクレーンが棚に自動で運搬・保管・仕分けする、システム管理された倉庫のことです。

自動倉庫には大きく分けて

・商品をパレット単位で商品を保管する「パレット型」
・比較的小型の商品をバケット(ケース・コンテナ)単位で保管する「バケット型」
・商品をカートン(段ボール等の箱)で梱包された状態で保管する「カートン型」

の3種類があり、省力化・省人化・在庫管理精度の向上・人の手が届かない高所スペースを有効活用できるなどのメリットがあります。

自動倉庫とは?
特徴
  • 商品の保管・出し入れ・仕分けをシステム管理し自動化された倉庫
  • システムから出庫の指示が出た商品は、クレーン等で自動搬送される
期待できる効果
  • 高所スペースの有効活用保管効率の向上
  • 在庫管理精度の向上
お勧めメーカー・製品 【パレット型】

【バケット型】

【カートン型】

2-2-2.シャトル型自動倉庫(パレット型・バケット型・カートン型)

シャトル型自動倉庫

画像出典:ダイフク「超高密度パレット自動倉庫『シャトルラックD³』

自動倉庫には、クレーン以外にもシャトル台車を活用して入出庫を行う「シャトル型自動倉庫」というタイプも存在します。

通常の自動倉庫が「保管」を得意とするのに対し、シャトル型自動倉庫は「仕分け」を得意とし、普段の滞留在庫は自動倉庫に置いておき、出荷が近づいてきたタイミングでシャトル型倉庫に一時保管・配送用に複数まとめて出す、といった使い方が一般的です。

通常の自動倉庫と同様、シャトル型倉庫にも、パレット型・バケット型・カートン型の3タイプがあります。

シャトル型自動倉庫とは?
特徴
  • シャトル台車を活用して商品の保管・出し入れ・仕分けを行う自動倉庫
  • 通常の自動倉庫のように商品の大量保管はできないが、スピーディーな仕分けを得意とする
期待できる効果
  • 出荷指示が出た商品を素早くソートして出す
  • 商品の一時保管場所として活用する
お勧めメーカー・製品 【パレット型】

【バケット型】

【カートン型】

【バケット型/カートン型両用】

2-3.仕分け作業に使うマテハン

ここでは、仕分け作業に使う2種のマテハンをご紹介します。

・ソーター(ケース仕分け・ピース仕分け)
・DAS/GAS

2-3-1.ソーター(ケース仕分け・ピース仕分け)

ソーター

ソーターとは、コンベヤ等で運ばれてきた商品を仕分けする自動仕分け機であり、

・ピース仕分け:商品の自動仕分けをピース(バラ)単位で行う
・ケース仕分け:商品の自動仕分けをケース(段ボールやコンテナ)単位で行う

の2タイプが存在します。

人の手よりも速く大量の商品を仕分けられるため、出荷数が多い倉庫現場においては特に、省人化・生産性の向上が期待できると言えるでしょう。

ソーターとは?
特徴
  • コンベヤ等で商品を顧客別・方面別などに分類する
  • 台や専用シートの上を自律的に走行し、ピース商品の仕分けや搬送を行うロボットもある
期待できる効果 仕分け作業の省人化
お勧めメーカー・製品 【ケース仕分け】

【ピース仕分け】

【ケース仕分け/ケース仕分け両用】

さらに、近年では専用シートの上を自律的に走行しピース商品の仕分けや搬送を行うロボットタイプのソーターも注目されています。

ロボット ソーター

画像出典:+Automation「t-sort

自律的に動くソーティングロボットは、人間が操作したとおりの決められた動きをする従来型ソーターよりも柔軟性が高い点が利点です。

一方で、納品箱に入れられた商品を最終的に整えるには人の手が必要であり、完全な自動化は実現が難しいという点には注意が必要です。

2-3-2.DAS/GAS

DAS_GAS

 

画像出典:トーヨーカネツ「デジタルアソートシステム」「ゲートアソートシステム

DAS(Digital Assort System)/GAS(Gate Assort System)とは、手作業による仕分けをサポートするためのシステムです。

DASは仕分け先ごとに設置されたデジタル表示によって、GASは仕分け先のゲートが開くことで投入する商品を作業員に知らせ、ミスなくスピーディーに仕分け作業を行うことができます。

ソーターのように仕分け作業全体を自動化するのではなく、作業員に仕分けの指示を出すマテハンであるというのが、DAS/GASの大きな特徴です。

DAS/GASとは?
特徴
  • DAS:仕分けする商品をハンディターミナル等で読み取ると、仕分け先のデジタル表示器に商品の投入数が反映されるシステム
  • GAS:商品をハンディターミナル等で読み取ると、仕分け先のゲートが開いて投入口を知らせるシステム

※仕分け作業をサポートする機器であり、仕分け作業自体は基本的に人の手によって行う

期待できる効果 仕分け作業の効率化・ヒューマンエラーの削減
お勧めメーカー・製品 【DAS】

【GAS】

2-4.ピッキング作業に使うマテハン

ピッキング作業 マテハン

画像出典:トーヨーカネツ「スーパーピックディレクターシステム(SPD® Ⅲ)

ピッキング作業を効率化するマテハンは「ピッキングシステム」と呼ばれ、ピッキングシステムには「GTP」と「ピースピック」の2タイプがあります。

・GTP型ピッキングシステム:Goods to personの略称で、ピッキングシステムにおいては作業者の手元や所定の場所まで荷物を運んでくるタイプの物流ロボットのことを指す
・ピースピック:商品をピース単位(バラ)ごとにピックアップする機器。商品を一つ一つ掴み取るロボットタイプや、ランプや画面表示で作業者をナビゲートするタイプなど、さまざまな種類がある

ピッキングシステムとは?
特徴
  • ピッキング業務を効率化するシステムの総称
  • 人のピッキング作業をサポートするタイプや自律的に動いてピッキングを行うロボットタイプなど、さまざまな製品がある
期待できる効果 ピッキング業務の効率化・ヒューマンエラーの削減
お勧めメーカー・製品 【GTP型】

【ピースピック】

作業員をサポートするタイプのピッキングシステムを導入するのか、ロボットハンドやセンサーなどの最新技術によって完全自動化に近づけるのか、ピッキング業務を最適化するためには現場の状況に最も適した製品を選定することが重要です。

2-5.積付・荷降作業に使うマテハン

最後は、積付・荷降作業に使う2種のマテハンをご紹介します。

・パレタイザ/デパレタイザ
・バンニング/デバンニング

2-5-1.パレタイザ/デパレタイザ

パレタイザ_デパレタイザ

パレタイザとは、段ボール等で梱包された荷物を持ち上げ、パレット上に自動で積み付ける装置のことです。

反対にパレットに積まれた荷物を取り出す荷降ろし作業を自動で行う装置をデパレタイザと呼び、積付と荷降両方に使えるパレタイザ/デパレタイザ両用タイプの製品も存在します。

パレタイザ/デパレタイザとは?
特徴
  • 荷物を自動でパレットに積み付ける(パレット上の商品を自動で降ろす)
  • 人手を介さず正確かつ均一に積付・荷降ができる
期待できる効果
  • 積付・荷降作業の効率化
  • 事故の防止による作業員と商品の安全性向上
お勧めメーカー・製品 【パレタイザ】

【デパレタイザ】

【パレタイザ/デパレタイザ両用】

2-5-2.バンニング/デバンニング

バンニング_デバンニング

画像出典:XYZ Robotics「導入事例 | RockyOneがEurovoの出荷業務を最適化

積付・荷降作業を効率化するマテハンの中には、トラックやコンテナへの荷物の積込(バンニング)・荷降(デバンニング)を自動で行う製品もあります。

重労働かつ多人数で行う必要のあったトラックへの積込・荷降作業を自動化させることにより、作業員の負担軽減が期待できます。

バンニング/デバンニングとは?
特徴
  • 荷物をトラック(コンテナ)に自動で積込・荷降する
  • さまざまな荷姿・重量に対応し、自律的に最適な配置を計算し積載効率を向上させるロボットタイプもある
期待できる効果
  • 積付・荷降作業の効率化
  • 事故の防止による作業員と商品の安全性向上
  • 荷待ち時間の短縮
お勧めメーカー・製品

3.物流倉庫にマテハンを導入するメリット・デメリット

マテハン導入 メリットデメリット

ここからは、物流倉庫にマテハンを導入するメリット・デメリットを紹介します。

物流倉庫にマテハンを導入するメリット・デメリット
メリット デメリット
  • 人手不足を解消できる
  • 人件費が抑制され長期的にはコスト削減につながる
  • 従業員の身体的負担/怪我や事故のリスクを軽減する
  • 生産性が向上する
  • ヒューマンエラーを削減できる
  • コストと時間がかかる
  • 機器の故障・システム障害で稼働がストップした時のリスクが大きい
  • マテハン機器やメーカーの選定が難しい
  • ROI(投資対効果)の見極めが難しい
  • 「自動化する業務」と「人が行う業務」の線引きが難しい

今後マテハンの導入を少しでも検討しているのであれば、ぜひ判断の参考としてご活用ください。

3-1.物流倉庫にマテハンを導入する5つのメリット

物流倉庫にマテハンを導入するメリットは、以下の5つです。

物流倉庫にマテハンを導入する5つのメリット
1.人手不足を解消できる
これまで人の手で行ってきた業務をマテハンで代替することで、少ない人数でも現場を回せるようになる
2.人件費が抑制され長期的にはコスト削減につながる
少ない人数で業務を回せるようになり、倉庫運用のランニングコストの大部分を占める人件費を抑制できる

※マテハン導入時に多額のイニシャルコストがかかるため、短期的には赤字になることを想定しておく

3.従業員の身体的負担/怪我や事故のリスクを軽減する
重い荷物の運搬や事故の起こりやすいエリアへの立ち入りなど、危険の多い業務をマテハンで代替することで、従業員の安全を確保できる
4.生産性が向上する
業務の自動化によって作業スピードの向上や作業品質の安定が期待できる

※機械化・自動化することでかえって生産性が落ちるケースもあるので注意

5.ヒューマンエラーを削減できる
業務の機械化により、うっかりミス・思い込み・確認不足といった人間特有のエラーが発生しなくなる

マテハン導入のメリットとして特に注目すべきは、物流現場で深刻な課題である「人手不足」と「人件費が膨らむ」の打開策として有効だという点です。

ただし、こうしたメリットには効果を実感できるまでに時間がかかります。

多額のイニシャルコストを回収するまではROIを感じられなかったり、新しいオペレーションが定着するまでは一時的に場が混乱するケースも少なくありません。

そのため、短期的なメリットを期待するよりもマテハンの導入を「自社の未来のための投資」として捉えておくと、効果を実感しやすいでしょう。

3-2.物流倉庫にマテハンを導入するデメリット

物流倉庫にマテハンを導入するデメリットは、以下の5つです。

物流倉庫にマテハンを導入する5つのデメリット
1.コストと時間がかかる
機器本体の費用に加えインフラ整備費・メンテナンス費用・マテハンを稼働させるためのシステム導入費といった多額の費用がかかり、総費用が数千万~数億円にのぼるケースもある
2.機器の故障・システム障害で稼働がストップした時のリスクが大きい
業務の自動化により人手への依存度が下がる一方で、機械・デジタルへの依存度は高まる
3.マテハン機器やメーカーの選定が難しい
製品やメーカーの選択肢が多く、「何を選ぶのがベストか」は現場の状況よって異なるため、社内の人間だけでリサーチ・判断するには限界がある
4.ROI(投資対効果)の見極めが難しい
マテハン導入にかかる総コスト・マテハン導入によるコスト削減効果を事前に算出するのは難しく、赤字になってしまうリスクがある
5.「自動化する業務」と「人が行う業務」の線引きが難しい
誰にでもできるような業務は自動化し、柔軟性が必要な業務は人が行うのがマテハン導入成功の鍵だが、その判断をできる人材が業界に極めて少ない

マテハンを導入するにあたり、企業にとって大きなネックとなるのがコスト面です。

具体的にどのくらいのコストがかかるのか、マテハン機器の本体費用の目安を見てみましょう。

マテハン機器の本体費用(目安)
パレタイザ 500~3,000万円/台
AGV 150~500万円/台
AGF 1,000~2,000万円/台
自動倉庫 1.5億円~

上記の本体費用に加えインフラ整備費やメンテナンス費用もかかるため、たとえ小規模であってもマテハン導入は企業にとって大きな支出となります。

コスト面のデメリットを最小化するには、

・国からの補助金を活用する
・国産よりも安価な中国製マテハンを活用する

といった打開策が効果的です。

また、メーカー選定や「自動化する業務」と「人が行う業務」の線引きについては、専門的なノウハウを持つ外部コンサルタント(物流ITコンサル)を活用するのがお勧めです。

※物流ITコンサルについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

いずれにしても、人手不足や人件費のコスト増が深刻化する物流現場では、デメリットを理由にマテハンの導入を見送るのではなく「デメリットをどうカバーしながら導入を進めるか」を前提に検討することが重要です。

4.マテハンに関するQ&A

マテハン QA

最後は、今後マテハンの導入を検討するうえで重要になる情報を、Q&A形式で紹介します。

マテハンに関するQ&A
Q.自社倉庫に新たなマテハンを導入するべきか迷っている。判断基準は?
A.以下の項目に当てはまるものが多いほどマテハン導入の必要性が高いです。

  • 人手不足が慢性化・深刻化している
  • 人件費の圧迫に悩んでいる
  • 将来を見据えて倉庫業務の自動化を推進したい
  • 一日の入出荷件数を増やしたいが、効率化に限界を感じている

→上記の課題が業務フローやシステムの見直しレベルで改善できない場合は、マテハンによる業務の自動化が必要

※判断基準の詳細については、以下の記事をご覧ください

Q.マテハン導入の費用はいくらかかる?
A.製品の種類・導入規模によって異なりますが、主な目安は以下の通りです。

  • 製品を単体で購入する商品導入の場合(AGVやソーティングロボットなど):数百万円~
  • 導入に大がかりな工事が必要な製品の場合(自動倉庫など):数千万~数億円

※月額25万円~で利用できるリビアオのソーティングロボット「t-sort」など、サブスク利用できるマテハンもある

Q.マテハンメーカーの選び方のコツは?
A.以下の3つのポイントを押さえて選ぶことをお勧めします。

  • 基本的には幅広い製品を取り扱う「総合メーカー」から検討する
  • 国外メーカーを検討している場合は代理店に仲介してもらう
  • 外部コンサルにマテハンメーカー選定の代行を依頼するのが最も安全

※詳しくは、マテハンメーカー18社を一覧表で比較した以下の記事をご参照ください

Q.マテハンの導入手順は?
A.あくまで一例ですが、以下の5ステップの流れでマテハンを導入するのが一般的です。

  • 現状の倉庫業務の課題を洗い出す
  • マテハン導入によって実現したい目標を設定する
  • マテハン機器・メーカーを選定する
  • 連携するシステムのベンダー選定・要件定義・設計・開発
  • テスト稼働/トレーニング
Q.マテハン導入に失敗しないための注意点は?
A.明確な目的を持たず「とりあえず将来のために」と導入するのは危険です。慎重なリサーチと検討を重ねましょう。

  • 現状の倉庫業務の課題洗い出し
  • 物流ロボットの導入によって実現したい目標設定

をどれだけ精度高くできるかがマテハン導入成功の鍵ですが、これらの工程を社内の人間だけで進めるのは限界があるため、まずは外部のコンサルなど第三者の物流のプロに相談するところから始めることをお勧めします。

5.マテハン導入を検討するならまずはコンサルに相談を!物流ITコンサルのRally Growth

マテハンへのリサーチを進めていくなかで、

「やはり長期的な企業の存続を考えると、マテハンの導入を本格的に検討するべきなのだろうか」
「製品の選定やROIの見極めなど、メーカーに直接問い合わせる前に客観的な意見が聞きたい」

といった疑問や不安をお持ちになった場合は、「物流を中心とした業務知見の豊富さ」×「IT/機械化の知見・経験」を強みとする「Rally Growth」にご相談ください。

Rally Growthとは?
2021年に創立した、ミドルマーケットを中心としたDX化/新規事業構築支援を行う、ビジネスコンサルティングファームです。

代表の園田を中心に物流業界に知見のあるメンバーが集まっており、主に物流DXに関連する案件を中心に、複数の企業を支援しています。

Rally Growth メンバー

Rally Growthの強み
豊富な知識に基づいた広い視点での企画・提案ができる

これまで物流の改善企画を数多く支援してきた経験から、

  • 一般的な物流の仕組み
  • 物流現場の実情
  • 物流システム
  • マテハンメーカー/機器

など、物流業界の幅広い知識を持っています。

「課題が多岐にわたっていて、何から手をつけて良いかわからない」という場合でも、広い視点での企画・提案ができます。

マテハン機器・メーカーの選定はもちろん、WMSやWCSといった周辺システムとの連携や、現場の根本的な課題を発見するコンサルまでこなす総合力の高さは、他社にはない大きな強みだと言えるでしょう。

【他社との違い比較表】

他社との違い比較表

お客様の支援事例
【プロジェクト概要】

  • 業態:製造小売
  • 取扱製品:アパレル
  • 従業員数:約35,000人
  • 導入目的:基幹システム・マテハン・WMSを連携させ、超省人化を実現させる

【プロジェクト背景】

6階建ての延床面積約10万㎡という巨大な専用物流倉庫を建設した同社は、マテリアルハンドリングメーカーと手を組み、RFID(無線自動識別)や自動倉庫、自動搬送機などを取り入れたプロジェクトを発足しました。

【支援内容】

弊社も当プロジェクトに参画し、主に以下3つの支援をさせていただきました。

  • 新倉庫の構想策定
  • マテハンメーカー/機器の選定
  • WMSの選定

最適なメーカーを探すべく、メーカー選定に先立って多種多様なマテハンを活用したオペレーションの設計を行っていましたが、既存のクラウド製品ではマテハンとの連携はもちろん、同社の基幹システムとの連携も難しかったため、オンプレミス型かつフルスクラッチでのシステム構築に踏み切りました。

結果として大規模な物流倉庫の立ち上げに成功し、今では日本最大級の省人化倉庫として日々稼働しています。

>>Rally Growthの支援事例をさらに詳しく見る

マテハン・ロボットの導入やシステムとの連携には多額のコストがかかり、場合によっては総コストが数千万~数億円にのぼる可能性もあります。

多額の予算を割いて最新マテハンを導入しても、綿密な計画を練らなければ、倉庫業務の改善に十分な効果を発揮させられません。

「自社倉庫の課題と徹底的に向き合い、最適なマテハン・ロボットを選定したい」
「目の前の課題に対処するだけではなく、10年後、20年後も生き残れる倉庫運用がしたい」

と考えている方こそ、まずはお気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
Rally Growth株式会社への物流に関するコンサルティング案件のご相談はこちらより承っております。ぜひお気軽にご相談ください。

相談

※顧客への対応や提案にお困りのマテハンベンダー様も、ぜひ上のフォームからご相談ください。
社はマテハンベンダー様との協業も視野に入れており、顧客の業務整理からマテハン・システム要求事項の洗い出し、営業フェーズのお手伝いも可能です。

【資料請求】
以下よりRally Growthのサービス資料もご請求いただけます。

ご支援の全体像や具体的なご支援プランを掲載していますので、物流を中心としたDX支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。

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6.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼物流業界におけるマテハンとは

物流業務の省人化・効率化・品質向上を促進する仕組みや機器の総称

昔ながらの機械から最新のロボットまで、すべてまとめて「マテハン」と呼ぶ

※本来は、物の移動や仕分けなどの取り扱いそのものを表す「マテリアルハンドリング(Material handling)」の略称として製造業や物流業の間で使われてきた用語であり、現代ではそれらの作業に使う機器のことを「マテハン」と呼ぶのが一般的になった

▼マテハン機器の種類

搬送:AGV・天井走行型無人搬送機RGV・AMR・AGF

保管:自動倉庫・シャトル型自動倉庫

仕分け:ソーター・DAS/GAS

ピッキング:ピッキングシステム

積付・荷降:パレタイザ/デパレタイザ・バンニング/デバンニング

▼物流倉庫にマテハンを導入するメリット・デメリット

【メリット】

  • 人手不足を解消できる
  • 人件費が抑制され長期的にはコスト削減につながる
  • 従業員の身体的負担/怪我や事故のリスクを軽減する
  • 生産性が向上する
  • ヒューマンエラーを削減できる

【デメリット】

  • コストと時間がかかる
  • 機器の故障・システム障害で稼働がストップした時のリスクが大きい
  • マテハン機器やメーカーの選定が難しい
  • ROI(投資対効果)の見極めが難しい
  • 「自動化する業務」と「人が行う業務」の線引きが難しい

本記事の内容が、貴社の倉庫運用改善のお役に立てましたら幸いです。

この記事を書いた人
安孫子悠介

安孫子悠介

Rally Note編集長 &Rally Growth株式会社 取締役。 専門はBtoB営業とマーケティング。KPI設計を含めた営業戦略・営業現場改善や、コンテンツマーケ、CRM、サイトUX改善などデジタルに強み。

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