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「WMSとは何か」がわかる!導入メリットや機能、事例まで丸ごと解説

カテゴリー:logistics
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wms とは

「WMSとは何?倉庫業務の改善に有効だとされているが、結局どのようなものかわからない」
「導入すれば、我が社の倉庫の課題も解決できるのか?」

倉庫管理の改善方法について情報収集しているうちに「WMS」という用語にたどり着き、上のような疑問をお持ちになった企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

WMS(倉庫管理システム)とは、倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのことです。

WMSとは?
倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと

wms とは

入荷から出荷まで、「何が・どこに・どれだけ・どのような状態で倉庫にあるか」をデータ化し、その情報をバーコード+ハンディターミナルなどで管理する

機能 基本機能(入荷管理・在庫管理・出荷管理・棚卸管理)
+
応用機能(外部連携・KPI管理など)※業務内容に合わせたカスタマイズも可能
費用相場 1,300万円~数億円

※5年間利用した総コストの相場
※タイプによって異なる

導入にかかる期間 2~3カ月~1年半以上

※タイプによって異なる

メリット 倉庫業務の迅速化・最適化を可能にする

・人為的ミスを削減できる
・作業を効率化できる
・業務が標準化され属人化を解消できる
・倉庫の保管効率が上がる
・在庫状況がリアルタイムで把握できる
・さまざまな外部システム・機器と情報連携できる

デメリット 倉庫の状況や予算によってはベストなWMSと出会えない可能性もある

・導入に時間とお金がかかる
・自社に合ったWMSを選ぶのが難しい
・新たな業務が発生して手間が増えるケースもある

こんな企業にお勧め 人手不足や人為的ミスが多いなど、倉庫現場に課題を感じている企業

・入出荷件数が多く慢性的に人手が足りない
・作業工程が多くミスが起こりやすい
・商品の種類が多く管理が煩雑になりやすい
・作業員の人数が多い・入れ替わりが激しい
・スタッフによってスキル・知識の差が激しい

WMSは倉庫業務の効率化やミスの削減に効果的であるため、人手不足や人為的ミスの多さに課題を感じている企業であれば、基本的には導入する価値が十分にあると言えます。

ただし、導入には多くのコストがかかるため、ベンダーや製品選びは慎重に行うべきでしょう。

本記事では、WMSがどのようなものか知りたい方に向けて、

・WMSとは何か(言葉の定義・他のシステムとの違い・導入によって何が変わるかなど)
・WMSの機能
・WMSのメリット・デメリット
・WMSの導入費用

といった情報をわかりやすく、具体的に解説します。

最後まで読めば、WMSがどのようなものかわかるようになるだけではなく、貴社の倉庫にWMSの導入が必要かどうかもわかるようになります。

ぜひ最後までご覧ください。

【記事監修】園田真之介

物流 コンサルタント
Rally Growth株式会社 代表取締役社長。株式会社FrameworxでSEとしてキャリアを形成後、株式会社BayCurrent Consultingを経て現職。専門は物流・ロジスティクス×IT領域。過去に大手アパレルの物流・倉庫最適化や大手自動車メーカーの物流システム刷新の案件をコンサルタントとして多数経験。2021年グロービス経営大学院卒(MBA)

1.WMSとは

wms とは

まずは、WMSとは何かを、次の順に解説します。

・WMS(倉庫管理システム)とは倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと
・他のシステムとの違い
・WMS導入によって倉庫現場はどう変わるのか

具体的な機能や導入するかどうかを判断する前に、「WMSがどのようなものか」の全体像を掴んでおきましょう。

1-1.WMS(倉庫管理システム)とは倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと

冒頭でもお伝えしたように、WMSとは、「Warehouse Management System(倉庫管理システム)」の略称で、倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのことを指します。

wms とは

倉庫に商品が入荷されてから出荷されるまで、「何が・どこに・どれだけ・どのような状態であるのか」をデータ化し、その情報をバーコードやハンディターミナルなどで管理します。

具体的には、以下のような方法で倉庫内の物の流れを追跡します。

WMSによって商品の情報を管理する例
・入荷時に商品の情報をハンディターミナルでスキャンして登録・倉庫に格納
・在庫の保管場所を移動させた場合、位置情報が反映される
・出荷指示が入ったら、商品の情報を呼び出しピッキング

WMSを導入し倉庫内の物の流れをデータ化することで、目視・手書き・手入力といった手作業による工程が減るため、

・アナログな倉庫管理
・エクセルを使った倉庫管理
・簡易的なシステムでの倉庫管理(基幹システム・在庫管理システム・その他自社開発したレガシーシステムなど)

などの方法で倉庫管理するよりも業務の効率化・人為的ミスの防止が期待できます。

1-2.他のシステムとの違い

WMSと他のシステムとの違いは、一言でいうと「倉庫全体の業務を管理する網羅性」です。

具体的には、次のような違いがあります。

WMSと他システムの違い
システムの種類 WMSとの違い
基幹システム

企業経営の主要な業務(販売・生産・財務会計など)を効率化・自動化させるための管理システム

倉庫管理に特化したシステムではない

受発注の情報管理はできるが、WMSのように倉庫管理に特化したシステムではないため、倉庫業務全般の管理に活用するには限界がある
(リアルタイムの在庫管理や作業指示等などはできない)

※WMSの上位システムとして連携させて運用するのが一般的

在庫管理システム

在庫を適正量に維持することを目的とした管理システム

入荷~出荷までの倉庫全体の幅広い情報管理ができない

在庫管理に特化したシステムであるため、WMSのように入荷検品やピッキングといった入出荷管理機能が搭載されていない製品も多く、倉庫全体の情報管理には活用できない

※課題が在庫管理のみの場合は、WMSを導入するよりも在庫管理システムを導入した方が良いケースもある

WES
(倉庫運用管理システム)WMSで管理している倉庫内の人・物・設備のデータを総合的に制御するシステム
WMSの下位システムとして作業の最適化を担当する

作業状況の可視化・データ分析が主な役割であるため、WMS・WCSと連携させて使うのが一般的

WCS
(倉庫制御システム)WMS・WESの指示に基づいて、倉庫内にあるマテハン・ロボットなどの機器をリアルタイムに制御するシステム
WMSの下位システムとして設備の制御を担当する

マテハン・物流ロボットを導入する際、WMS・WESと連携させて使うのが一般的

TMS
(輸配送管理システム)倉庫から出荷された商品が届け先に到着するまでの輸配送に関する情報を管理するシステム
管理する対象が「輸配送業務」である

WMSが倉庫内の情報を総合的に管理するのに対し、TMSは倉庫外の輸配送業務を最適化するシステム

OMS
(受注管理システム)ECサイトやECモール等において、商品の注文を管理するシステム
追跡する情報の対象が「物の移動の流れ」ではなく、「注文の流れ」である

・OMSはEC事業での利用が一般的であり、入金確認やECサイト・ECモールへの商品情報登録など、WMSにはない基本機能が搭載されいてる
・OMSとWMSが一体型になった製品なども存在する

このように、各システムにはそれぞれ異なる役割があります。

そのため、どれか一つだけを選んで運用するのではなく、自社のビジネス分野や業務形態に必要なものを導入・連携させることが重要です。

WMSは、上の表で挙げたシステム同士を繋ぐハブとして機能します。

倉庫の拠点となるwms

WMSを情報の拠点として、その他のシステムと連携させることで倉庫管理の最適化が実現する、とイメージしておくと良いでしょう。

1-3.WMS導入によって倉庫現場はどう変わるのか

WMSの導入によって倉庫現場はどう変わるのか、導入前後の入荷から出荷までの流れを図解した、以下のイメージ図をご覧ください。

【WMS導入前イメージ(エクセルなどによる倉庫管理)】wms導入前イメージ

倉庫現場が抱える課題(一例)
入荷作業に時間がかかる ・紙で出力された入荷指示書を担当者が目視で検品するため、整合性確認に時間がかかる
・棚入れした商品のロケーションを手入力で登録するため、等速作業に時間がかかるor個別のロケーション管理までできない
ピッキングに時間がかかる・人為的ミスの多発 紙の出荷指示書を元に、担当者が目視で商品を確認・ピッキング

→慣れていないスタッフほど時間がかかる・類似商品をピッキングすることによる誤出荷などが多発

慢性的な人手不足 入荷時の格納や仕分けに多くの人手が必要

【WMS導入後イメージ】
wms導入後イメージ

WMS導入によって解決された課題(イメージ・一例)
入荷検品の時間短縮 入荷した商品をハンディターミナル等でスキャンすることで、入荷登録が半自動で行え、作業時間が2分の1に短縮
ピッキングの作業効率向上・人為的ミスの低減 ・データによるロケーション管理で倉庫内のものを探す時間が短縮され、ピッキング速度が1.5倍に向上
・誤った商品をピッキングするとアラートが鳴る機能により、誤出荷が10分の1に減少
人手不足問題の解消 仕分け・搬送を自動で行ってくれるマテハンを導入・WMSを連携させることにより、作業員を半分に減らすことができた

このように、WMSを導入することにより、倉庫業務の効率化(省人化)やミスの削減といった効果が期待できます。

より具体的な事例を知りたい場合は、記事の後半「6.WMSの導入に成功した企業の事例」をご覧ください。

1-4.WMSの種類

WMSは大きく分けてSaaS・パッケージ型・フルスクラッチ型の3種類があり、導入費用や使える機能の自由度は、タイプによって大きく異なります。

WMSの3種のタイプ
SaaS型
(中小企業向け)
・ベンダーが提供するシステムを、月額を支払って利用するタイプ
・すでに用意されている機能を利用するため、基本的にカスタマイズはできない
パッケージ型
(中堅~大企業向け)
・基本的な機能がパッケージ化されているタイプ
・あらかじめ用意されている基本機能に加え、自社の業務内容に合わせて機能をカスタマイズできる
フルスクラッチ型
(大企業向け)
・自社専用のシステムを1から開発する、フルオーダータイプ
・ベンダーから製品を購入するのではなく、物流知見と開発力のあるSIerに依頼して開発する

それぞれのタイプの特徴は、以下の一覧表のとおりです。

【WMSのタイプ別特徴一覧表】

WMSのタイプ 導入コスト ランニングコスト 稼働させるまでにかかる期間 カスタマイズの自由度 企業規模イメージ
SaaS型
低い
100万円~

比較的高い
月額5~20万円程度

短い
2~3カ月

低い
原則カスタマイズ不可
中小企業
パッケージ型
比較的高い
数千万円~

契約形態によって異なる

比較的長い
6カ月~1年以上

比較的高い
製品によって異なる
中堅~大企業
フルスクラッチ型
高い
数千万~数億円かかるケースも

比較的高い
自社メンテナンスが必要

長い
1年半以上

高い
フルオーダーできる
大企業

カスタマイズの自由度が高く多機能なWMSほど莫大な予算が必要であるため、中小企業の場合は

・SaaS型
・パッケージ型+軽微なカスタマイズ

といったタイプを選択するのが一般的です。

2.WMSの機能

wms 機能

続いては、WMSの機能について

・基本機能
・応用機能

の順に解説します。

WMSを使って何ができるのか、貴社の倉庫現場に役立つかどうかを確認していきましょう。

2-1.基本機能

WMSの基本機能には、

・入荷管理
・在庫管理
・出荷管理
・棚卸管理
・マスタ管理

といったものがあり、これらの機能はどの製品にもあらかじめ搭載されているのが一般的です。

各機能の具体的な内容は、以下の表のとおりです。

WMSの基本機能
入荷管理

仕入先や工場など、外部から倉庫へ入ってくる物を管理する機能

倉庫に入荷した商品の情報を読み取り、棚の位置情報と紐づけて格納することで、入荷作業の時間短縮・ミス防止を図る

【詳細機能の例】
・入荷予定情報の取り込み
・入荷予定リストの発行
・入荷実績の入力
・ラベル発行
・入荷検品
・格納

在庫管理

在庫のリアルタイムな情報を管理する機能

倉庫内にある物の動き・状態をデータ登録して可視化することで、過剰在庫や欠品などのトラブルを最小限に抑える

【詳細機能の例】
・在庫照会
・ロケーション移動
・在庫調整
・廃棄処理
・補充
・履歴管理

出荷管理

取引先や顧客から注文を受けた商品が正しく出荷・納品が行われているかを管理する機能

出荷指示書の出力・ピッキングルートの生成・出荷商品の整合性確認といった業務を半自動化することで、出荷作業の工数を最小化・ピッキングミスや誤出荷などの防止を図る

【詳細機能の例】
・出荷依頼情報(出荷指示)の取り込み
・在庫引当/作業単位作成
・ピッキングリストの発行
・ピッキング/出荷検品
・梱包入力

棚卸管理

在庫のカウントやシステム在庫と現物在庫の差異調整を効率化する機能

棚卸指示書の出力・在庫のカウント等を電子化することで、棚卸業務の時間短縮・現物在庫の正しい把握・カウントミスの防止を図る

【詳細機能の例】
・棚卸指示
・棚卸作業
・棚卸差異リスト
・棚卸結果報告

マスタ管理

複数のシステムに散在するさまざまな情報を「マスタデータ」として種類別に整理統合する機能

整理統合したデータを分析し、オペレーション改善や顧客満足度向上のヒントに活用できる
※複数のシステムを連携させる場合は特に重要な機能となる【詳細機能の例】
・商品マスタ
・ロケーションマスタ
・取引先マスタ
・倉庫マスタ

これらの機能が実際の現場でどのように役立つのか、さらに具体的にイメージしたい場合は、機能ごとのメリットや活用場面の例を多数紹介している以下の記事をご覧ください。

参考記事:「WMSの機能を網羅解説!機能ごとのメリットや活用場面の例も紹介

2-2.応用機能

前述した基本機能に加えて、WMSでは以下のような応用機能が使える製品も数多く存在します。

WMSの応用機能
外部連携

外部のシステムや機器とWMSを連携させる機能

倉庫で稼働させているあらゆるもの(外部システムや機器)と連携することで、WMSが倉庫のすべての情報を集約する「情報拠点」となる

※先進技術を取り入れたAI・物流ロボット・マテハン等を現場で稼働させるためには、WMSとの連携が必須

【詳細機能の例】
・基幹システムとの連携
・受注管理システム(OMS)との連携
・マテハン機器・物流ロボットとの連携

KPI管理

倉庫業務のKPI(コスト・生産性・品質などの中間的な目標)を管理する機能

システム内に集めたデータを分析し、現場の現場や課題を見える化し適切な目標を設定することで、作業効率アップ・コスト削減を図る

【詳細機能の例】
・倉庫のKPI分析
・作業進捗照会

これらの応用機能は、オプションとして追加料金が発生するのが一般的です。

さらに、自社の業務に合わせて既存の機能を次のようにカスタマイズすることも可能です。

WMSの機能のカスタマイズ例
入荷管理機能 入荷元のASNデータを連携させ、検品レスで在庫計上できるようにする
→入荷時の作業時間が短縮
出荷管理機能 入荷した箱単位での出荷指示が発生した際、箱をそのままピッキングラベルとして有効活用したピッキングリストが出力されるようにする
→ピッキングの作業効率が向上
在庫管理機能 賞味期限管理している在庫の残日数に応じてアラートを表示する
→期限切れによる在庫の廃棄を防ぐ

応用機能に関しても、活用事例等をより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

参考記事:「WMSの機能を網羅解説!機能ごとのメリットや活用場面の例も紹介

3.WMSを導入するメリットとデメリット

wms メリット デメリット

ここからは、WMSを導入する6つのメリットと3つのデメリットを紹介します。

WMSには導入にコストがかかるなどのデメリットも存在しますが、総合的にはデメリットよりもメリットの方が圧倒的に多く、一部の例外を除いた多くの物流現場にメリットがあると言えます。

具体的な内容を確認し、貴社にとってメリットとデメリットのどちらが大きいかをチェックしましょう。

3-1.WMSを導入する6つのメリット

WMSを導入する6つのメリットは、次のとおりです。

WMSを導入する6つのメリット
1.人為的ミスを削減できる
入荷検品ミス・ピッキングミス・送付先住所の記載ミスなどを防止・削減
2.作業を効率化できる
入出荷検品・棚入れ・ピッキング・ラベル出力・棚卸し・商品の運搬など一部の業務を自動化
3.業務が標準化され属人化を解消できる
ハンディターミナルを軸とした明確なマニュアルが確立され、新人スタッフからベテランスタッフまで一定の水準で作業ができる
4.倉庫の保管効率が上がる
フリーロケーションでの保管による省スペース化など
5.在庫状況がリアルタイムで把握できる
欠品や過剰在庫などのトラブルを防止
6.さまざまな外部システム・機器と情報連携できる
WMS・TMS・マテハン・ロボット・AIなど、倉庫内のあらゆる情報を繋ぐ拠点になる

WMSで入荷~出荷までの倉庫の物の流れを管理することにより、より正確・迅速な倉庫管理が実現します。

「人為的ミスの削減」と「作業の効率化」が代表的なメリットとして挙げられることが多いですが、特に注目しておきたいメリットは「さまざまな外部システム・機器と情報連携できる」という点です。

倉庫内のあらゆるシステムや機器を連携して稼働させるには、WMSというハブとなる存在が不可欠であり、基幹システムやその他の古いシステムでは代替できません。

特に、倉庫業務の生産性と品質向上に劇的な変化をもたらす「マテハン・ロボット・AI」を導入したいと考えている場合は、それらを稼働させるために倉庫内のデータを取得・蓄積するWMSが必須です。

【WMSとの連携が必須なマテハン・ロボットの一例】
マテハン・ロボットの一例

→これらの機器を稼働させるには、WMSで取得・蓄積した倉庫内のデータが必要

あなたの会社が現時点で基幹システムやその他の古いシステムを利用しているのであれば、WMSの導入によって、これまでできなかった「自社にとって最適な物流オペレーション」を構築できる可能性があると言えるでしょう。

WMSのメリットについてより詳しく知りたい場合は、具体例や事例を豊富に紹介した以下の記事をご覧ください。

参考記事:「WMSの6のメリット|人手不足・情報管理に悩む現場は導入がお勧め

3-2.WMSを導入する3つのデメリット

WMSの導入にはさまざまなメリットがありますが、一方で次のようなデメリットも存在します。

WMSを導入する3つのデメリット
1.導入に時間とお金がかかる

導入するWMSのタイプにもよるが、以下のコスト・期間が発生する可能性がある。

・数千万~数億円のコスト(5年程度稼働させた場合)
・2~3カ月~1年半以上の導入期間

→トータルの予算が数十万~数百万円を想定している企業の場合、そもそも導入に至れない可能性もある

2.自社に合ったWMSを選ぶのが難しい

機能や費用感が自社にマッチしていない製品を選んでしまった場合、以下のような失敗につながる可能性がある。

・導入後上手く機能せず従来のオペレーションに戻ってしまう
・予算オーバーのWMSを導入し、初期投資の赤字をいつまでも取り返せない

3.新たな業務が発生して手間が増えるケースもある
「WMSで倉庫業務を自動化」と言っても、導入後は商品情報をシステムに登録するなどの作業が必要。
→簡易的な古いシステムやアナログな手法で倉庫管理をしていた場合は、データ化に膨大な手間がかかる可能性がある

これらのデメリットを回避するためには、事前の情報収集と社内検討が不可欠です。

・そもそもWMSが自社にとって必要か
・イニシャルコスト・ランニングコストの予算はいくらか
・必要な機能は何か(カスタマイズの必要があるか)
・WMS導入に伴い、倉庫内の情報のデータ化にどのくらいの手間がかかるか

といった要素を、導入前にしっかりシミュレーションしておきましょう。

少しでも判断に迷う場合は、自社にとってWMSの導入はメリット・デメリットのどちらが大きいか、事前に専門家へ相談してみることをお勧めします。

※詳しくは、企業の物流の悩みを解決する「物流ITコンサルティング」について解説した以下の記事を参考にしてください。

4.WMSの導入費用

wms 導入費用

WMSの導入費用はタイプによって相場が大きく異なり、タイプ別の費用相場は、以下のとおりです。

タイプ別・WMSの費用相場
タイプ※1 5年間利用した総コストの相場※2 イニシャルコスト ランニングコスト
SaaS型 1,300万円~ 100万円~

【内訳】
・データ移行費
・トレーニング費

月額20万円~

【内訳】
サービス利用料

パッケージ型 6,000万円~ 数千万円~

【内訳】
・開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
・データ移行費
・トレーニング費

開発費の10%程度

年間300万円~【内訳】
・保守作業費用
・クラウド利用料
スクラッチ型 1億3,000万円~ 数千万~数億円

【内訳】
・開発費(要件定義・設計・開発・テスト)
・データ移行費
・トレーニング費
・サーバー購入
・設定作業費
※開発規模によって大きく変動する

開発費の10%程度

年間500万円~【内訳】
・保守作業費用
・クラウド利用料

※1:各タイプの定義や特徴については、記事の前半「1-4.WMSの種類」をご参照ください
※2:予算イメージの目安として、導入後5年程度稼働させた場合のトータルでかかるコストの概算を記載しています

WMSの導入に多額の予算が割けない中小企業の場合、初期費用が安いSaaS型WMSは手頃に感じるかもしれませんが、5年も運用し続ければ1,000万円近くの費用がかかる場合もあります。

さらに、上記の相場に加えて追加で費用がかかるケースもあります。

WMS導入時に追加でかかる可能性がある費用
項目 費用相場(一例)
機器レンタルor購入費用

ハンディターミナルなど、WMSの運用に必要な機器のレンタル・購入費用

例)ハンディターミナルの場合
レンタル:月額数千円〜(1台あたり)
購入:5~10万円程度(1台あたり)
データ移行支援

既存システムからデータを移行する費用

SaaS型:100万円~
パッケージ型:300万円~
スクラッチ型:500万円~
運用支援

スタッフのトレーニング・運用テストなどにかかる費用

追加カスタマイズ

導入後にカスタマイズを加えた場合の費用

カスタマイズの範囲・複雑さによる

このように、WMSの導入はどれだけ安価なものを選んでもある程度のまとまった予算が必要です。

そのため、費用相場を見て明らかに予算オーバーである企業の場合は、無理に導入しないという選択も視野に入れておきましょう。

WMSの導入においては、「表面的な価格の安さ」よりも「長期的な費用対効果」を考えて、

・そもそも自社にとってWMSの導入が必要かどうか
・どの製品を導入するか

といった判断をすることが重要です。

WMSの費用についてより詳しく知りたい場合は、具体的な費用感や費用面での注意点などについて解説した以下の記事をご覧ください。

参考記事:「WMSの導入費用はいくら?5年間利用した予算目安まで具体的に解説

【「予想以上に費用がかかるな⋯」と思ったら】

ここまで記事を読んで、費用相場が予想以上に高額だったと感じている企業様は多いのではないでしょうか。

WMSは倉庫管理の品質向上に効果が期待できる一方で、導入には多くの費用がかかります。
貴社にとって、投資した費用を回収できるだけの価値がWMSにあるかどうか、次章以降の内容

・「5.WMS導入で効果が出やすい企業・出にくい企業の特徴
・「6.WMSの導入に成功した企業の事例

を参考に慎重に判断されることをお勧めします。

5.WMS導入で効果が出やすい企業・出にくい企業の特徴

wms 導入 効果が出やすい/出にくい企業

続いて、WMS導入で効果が出やすい企業・出にくい企業の特徴についてお話します。

本記事では、現状で倉庫管理に課題を抱えている企業様には基本的にWMSの導入をお勧めしていますが、その中でも「効果が出やすい企業」と「効果が出にくい企業」というものが存在します。

WMSを導入するかどうかの判断基準のひとつとして、本章の内容を参考にしていただければ幸いです。

5-1.WMS導入で効果が出やすい企業の特徴

WMS導入で効果が出やすい企業の特徴は、以下の5つです。

WMS導入で効果が出やすい企業企業の特徴
・入出荷件数が多く慢性的に人手が足りない
・作業工程が多くミスが起こりやすい
・商品の種類が多く管理が煩雑になりやすい
・作業員の人数が多い・入れ替わりが激しい
・スタッフによってスキル・知識の差が激しい

上に挙げた5つの特徴は、物流業務において企業が抱えやすい課題であり、同時にWMSの機能によって解決しやすい課題でもあります。

上記のような特徴を持つ企業が、WMS導入によってどのように課題解決できるのか、もう少し具体的に見てみましょう。

WMSが解決できる物流現場の課題
入出荷件数が多く慢性的に人手が足りない
→WMSのメリット「作業の効率化」により、少ない人手で現場が回せるようになる
作業工程が多くミスが起こりやすい
→WMSで業務の一部を自動化させることにより、人為的ミスを削減できる
商品の種類が多く管理が煩雑になりやすい
→入荷時にWMSへ商品の細かい情報を登録しておけば、「何が」「どこに」「どれだけ」保管されているかを瞬時に把握できる
作業員の人数が多い・入れ替わりが激しい
→WMSで業務を標準化させることより、ポジションを固定しなくても一定の水準で作業できるようになる
スタッフによってスキル・知識の差が激しい
→WMSで業務を標準化させることより、ベテランスタッフに頼りきりなどの属人化が解消できる

このように、WMSは物流業務で生じやすい問題を解決できる機能を備えています。

本章で挙げた5つの特徴のうち、当てはまるものが多ければ多いほど、WMS導入で倉庫現場の改善効果が出やすい企業だと言えるでしょう。

5-2.WMS導入の効果が出にくい企業の特徴

WMS導入の効果が出にくい企業の特徴は、以下の3つです。

WMS導入の効果が出にくい企業の特徴
・入出荷件数が少ない(週の入出荷が5~10件の小さなECなど)
・マスタ作成などのデータ準備に相当な時間を要する
・スタッフのITリテラシーに著しく不安を感じている(スタッフが全員年配など)

極端に少ない企業や、アナログな手法で倉庫管理が上手く機能している企業の場合は、WMSを導入しても劇的な効果は実感できないかもしれません。

例えば、小さなEC事業者で

「メールで受けた1日数件の注文を紙に印刷し、倉庫から商品を用意して発送する」

といった最小限のオペレーションで間に合っている物流現場の場合などは、十分な費用対効果が得られない可能性があります。

さらに、

・WMSを導入(他システムからのリプレイス)した際、データ化にどのくらいの時間と手間がかかるか
・スタッフがハンディターミナルを使いこなせるか

といった、導入後のことも考えておくのが重要です。

上に挙げた3つの特徴のうち、当てはまるものが1つでもあった場合は、WMSの導入は一度保留にして以下の2ステップを実践すると良いでしょう。

【2ステップ】WMSの導入効果が出にくい企業が取るべき行動
【STEP1.まずはプロに相談】

専門家(物流ITコンサルティング事業を手がける企業)に問い合わせ、自社でWMSを導入した場合どのくらいの手間がかかるのか、十分な費用対効果が得られるのか、プロ視点の意見を聞く

参考記事:「物流ITコンサルティングとは?依頼すべきケースや相場をプロが徹底解説

【STEP2.導入してもメリットが少ないようならWMS以外の施策を探す】

専門家から「WMSを導入しても効果が期待できない」とアドバイスされた場合は、以下のようなWMS以外の施策を講じる

・業務フローや作業動線を見直す(人手不足やミスが多い倉庫の場合)
・業務分析をし、無駄にコストかかっている部分がないか見直す(人件費に悩む倉庫の場合)

6.WMSの導入に成功した企業の事例

wms 成功した企業 事例

ここでは、WMSの導入に成功した企業の事例を3つご紹介します。

ここまでの内容を読んで

「WMS導入の一般的なメリットについてはよくわかったが、具体的に現場がどう変わるのか、自社にとって本当にメリットがあるのかがまだイメージできない」

と感じられた場合は、本章で紹介する事例を参考に、WMS導入による倉庫現場の変化をイメージしてみましょう。

事例1.レガシーシステムから最新のWMSにリプレイス
月460時間の労働時間・70万円の人件費削減に成功

【企業概要】

業種:倉庫業
取り扱い商品:医療材
従業員数:100名程度

【WMS導入の背景】

20年以上前に自社開発した在庫管理システムを使い、大部分の作業を紙ベースで行ってきた(入荷予定情報はFAXで来たものを手入力・ロケーション変更は手書きなど)。導入当初は十分に機能していたが、業務拡大に伴い、作業時間がかかりすぎるなどの支障が出てくるようになった。作業効率の向上・従業員の負担低減を目指し、WMSへのリプレイスを決定。

【WMS導入の効果】

手作業からハンディターミナルへの切り替えで作業時間が大幅に短縮され、労働時間は月400時間の削減に成功また、一部のベテラン事務員でしかできなかった業務が未経験者でも対応できるようになり雇用の幅が広がったことなども関係し、月間60万円の人件費削減に成功

 

事例2.自社開発システムからWMSへリプレイス
出荷ミスが月に2件→0件に削減

【企業概要】

業種:運輸業
取り扱い商品:日用雑貨など
従業員数:300名程度
帳票管理からバーコード管理に変え、人為的ミスが発生しにくくなった

【WMS導入の背景】

創業以来自社開発のシステムを利用していたが、倉庫内の商品情報をバーコードではなく帳票で管理していたことから、目視でのチェック漏れによる出荷ミスが月に数件発生していた。「出荷ミス防止」の課題を解決するべく、WMSへのリプレイスを決定。

【WMS導入の効果】

すべての商品をバーコードで管理・出荷作業をハンディターミナルで行うオペレーションに変更したところ、WMS導入後の出荷ミスは1件も発生していない。

 

事例3.WMSを導入しアナログな倉庫管理を脱却
正確な在庫管理・棚卸しで3分の1の省スペース化に成功

【企業概要】

業種:小売業
取り扱い商品:アパレル
従業員数:30名

【WMS導入の背景】

アナログな手法で倉庫管理をしてきたが、誤配送や新人スタッフとベテランスタッフで作業スピードに差がありすぎるなどの課題を抱えていた。ミスの削減・属人化の解消を目的に、WMSの導入を決定。

【WMS導入の効果】

ミスの削減・属人化の解消・在庫管理の精度向上といった効果が得られた。WMS導入により、リアルタイムの在庫確認・売れ行きの分析・週1回の棚卸しが可能になり、過剰在庫を解消。倉庫内の在庫の量は半分に削減された。さらにフリーロケーションでの保管で無駄なスペースを圧縮したことで、4分の1の省スペース化に成功

このように、WMSを導入したことで、倉庫現場の課題が解決できたという企業の事例は数多くあります。

注目すべきは、いずれの成功事例も

・WMSを導入する目的が明確だった
・自社に合ったベンダー・製品を吟味してから導入した

という意識を企業側が持っていたという点です。

WMS導入に成功するためには、導入後のイメージの想定や製品選びはやはり慎重に行うべきだと言えるでしょう。

自社に合ったWMSを選ぶために、企業側は何をすればいいのか、次章で詳しくお話しします。

7.WMSの選び方

wms 選び方

WMS選びに失敗しないためには、次のような選び方を実践すると良いでしょう。

失敗しないWMSの選び方
1.自社の課題をリストアップし、その課題を解決してくれるWMSの機能を洗い出す
なぜWMSの導入を検討するに至ったのか、WMS導入によってどのような効果を期待しているのかを具体的に言語化してリストを作成しておく
2.予算やカスタマイズの自由度に合わせてWMSのタイプを選ぶ
例)
初期投資を抑えたい中小企業:SaaS型
軽微なカスタマイズを加えたい中堅企業:パッケージ型
オーダーメイドのシステムを構築したい大企業:スクラッチ型
3.必要な機能を備えたWMS製品(ベンダー)をリストアップする
例)
・希望の製品タイプ:パッケージ
・必要な機能:標準機能+マテハン・ロボット連携機能
→「マテハン・ロボット連携機能を搭載したパッケージタイプのWMS」をできるだけ多く探してリスト化しておく
4.対象規模・業種・業界がマッチしていないものは候補から外す
例)
小規模な小売事業を営む企業の場合→大型物流センター向けのWMSはマッチしないので候補から外す
※幅広い規模・業種に対応している製品の場合、こちらのステップは割愛して問題ありません
5.操作性やセキュリティなど細かいポイントをチェックし候補を絞る
例)
・使用したい外部システム/周辺機器との連携はできるか
・5~10年先も使える製品か
・直感的に使いやすいか
・サポート体制が自社にマッチしているか
・情報セキュリティ対策は万全か(プライバシーマーク・ISO認証の有無を確認するのも有効)

※WMSの選び方についてより詳しく・より実践的な方法が知りたい場合は、失敗しない選定方法を10のステップで解説した以下の記事をご覧ください。

参考記事:「WMSの選び方はこれに従うだけ!失敗しない究極の10ステップ

「そもそも候補となる製品が見つけられない」という場合は、以下のおすすめ製品リストを参考にしてください。

おすすめWMS製品リスト
製品名 初期費用
(税込)
維持費用
(月額・税込)
特徴
SaaS型
W3 mimosa 22万円~ 4万1,250円~ ・初心者向けの優しいUI
・無料デモアカウントを発行して体験利用ができる
タナヨミ 16万1,700円~
※スタンダードプランを利用した場合の参考料金
6万2,150円
※スタンダードプランを利用した場合の参考料金
標準化カスタマイズ(他社が行ったカスタマイズを新機能として使用できるサービス)を導入しており、カスタマイズ費用を抑えやすい
パッケージ型
Xble 44万円~ 2万2,000円~
※出荷明細数に応じて従量課金
・ハンディターミナルの購入・レンタルが不要(スマートフォンで操作)
・完全従量課金制
クラウドトーマス 無料~
※導入支援サービス22万円~
9万9,000円~ ・さまざまな業種・業態の導入実績あり
業種:製造・卸・物流・ECなど
業態:toC・toB
・スタッフ目安1~15名の小規模現場向け
クラウドトーマスPro 要問合せ 16万5,000円~ ・独自APIの公開により上流、下流システムとの連携が容易
・食品・アパレル・医療など業界に特化した機能が追加できる
Air Logi 3万8,500円
※導入支援は別途有料
1万1,000円~ EC物流に強く、自社OMS経由でモール・カートとのAPI連携実績多数
ci.Himalayas/R2 34万200円 2万1,600円~ 情報セキュリティ対策に力を入れている(ISO-27001の取得・耐災害性に強いデータセンターの設置・バックアップ用に別サーバーを設けているなど)
SLIMS クラウド版:44万円~ 5万4,780円~ 生活用品を取り扱うドラッグストア・ホームセンター・ディスカウントストア向けのWMS
オンプレミス版:660万~
※基本パッケージ価格
開発費用の8%(年間)
※保守費用
パッケージ型(カスタマイズ性が特に高いもの)
ONEsLOGI
「物流センター管理システム
要問合せ 要問合せ 複数の倉庫拠点・複数荷主を有する、中~大規模物流センター向けのWMS
Logistics Station iWMS® G5 要問合せ 要問合せ マテハン・ロボットやその他個別ソリューションとの連携実績が豊富で、自社に合った省人化のやり方を相談できる

上のリストを見ても分かるとおり、WMSにはさまざまな製品があり

・導入費用
・料金体系
・搭載されている機能
・カスタマイズの自由度
・得意とする業種・業界
・対象規模

などの特徴は製品によって異なります。

WMSのメリットを最大化させるためには、数ある製品のサービス内容や特徴を比較し、自社にとってベストな1つを慎重に選定することが重要です。

【「自力ではとても選べない…」と思ったら】

WMSを導入する際は製品選びが非常に重要ですが、一方でWMSの導入には一定の専門知識を要するため、社内の人間だけで選定するのは難しいケースも多いというのが実情です。

少しでも判断に迷う場合は、どのようなWMSを選べば良いか、事前に専門家へ相談してみることをお勧めします。

※詳しくは、企業の物流の悩みを解決する「物流ITコンサルティング」について解説した以下の記事を参考にしてください。

 

 

8.WMSの現状と今後

wms 現状 今後

ここまで、本記事では「WMSとは何か」についてさまざまな角度からお伝えしてきました。

最後は、WMSの現状と今後について、少し踏み込んだ話をさせていただきます。

WMSの導入を本気で検討しており、「表層的な知識だけではなくリアルな話が聞きたい」という方は、ぜひご覧ください。

8-1.WMSの現状

WMSの現状を簡潔にお伝えすると「最新のWMSを導入すればさまざまな恩恵を受けられる一方で、まだまだ導入・利活用できていない企業が多い」です。

記事内でも繰り返しお伝えしてきた通り、WMSを用いて倉庫管理のデジタル化を進めた場合、

・倉庫内の情報が可視化される(例:リアルタイムで在庫把握可能)
・作業効率の向上(例:ハンディによるピッキングでミス無し)
・他システム・機械との連携(例:マテハンやロボット、AI連携可能)

といった恩恵を受けられます。

しかし上記のようなメリットがあるにもかかわらず、現状では以下のようなケースが散見されているのも事実です。

WMSと上手く付き合えず、倉庫管理が機能していない企業の一例
・WMSを導入せずエクセル管理で疲弊している
・WMSを導入したが、イメージしていた通りの効果を得られていない
・かなり以前にWMSを導入したが、機能やアーキテクチャが老朽化している
→WMSの恩恵を受けられていない企業はまだまだ多いというのが現状

特に、「WMSの機能やアーキテクチャが老朽化しており、満足のいくパフォーマンスを出せていない」といったケースは、中堅~大手企業を中心に散見されます。

実際に、

「マイグレーションで対応するのか、それとも思い切ってリプレイスをするべきかを決断したいが、大きな投資判断になるため方針が定まらない」

といったリアルな声も上がっています。

以上のことから、「いかにして物流業界全体への影響が大きい中堅~大手企業を中心にWMS等の最新化を図っていけるか」という点が、早急に対処すべき課題であると言えるでしょう。

8-2.WMSの今後

WMSの今後については、従来の活用法である業務の効率化」に加えて、「限られたリソース(人材/マテハン)の最大活用」まで活用の視点が移っていくことが予測されます。

wms 移り変わり

このような移り変わりの背景として、労働人口の減少が挙げられます。

労働政策研究・研修機構」が実施した推計によると、今後15年で約800万人の労働人口が減少すると考えられています。

労働人口の減少

人手に依存する物流業界において、労働人口の減少は深刻な問題です。

今後ますます働き手が少なくなる状況を考えると、「業務の効率化を図ろう」といったレベル感では間に合わず、「いかに限られたリソースを活用できるか」という視点が必要になってくると考えられます。

具体的には、

・日ごとの物量実績の傾向や商材ごとの人的作業を分析・改善し、必要最低限で回せる仕組みを作る
・マテハンの稼働率を可視化し、機械能力が常時高稼働するようにオペレーションを組み直す
・よりメリットの大きい仕組みやオペレーションへの変更を、荷主に提案・交渉する

などのアクションが必要になるでしょう。

上記のようなアクションをスムーズに実行するためには、取得したデータを可視化して分析できる体制が整っていることが欠かせません。

そして近い将来、その取得データの利活用にAIが関わってくることは疑いようのない流れです。

蓄積されたデータは人では判断できない量になってくるので、分析をAIに代替させ、改善の意思決定までのリードタイムを短縮できた企業が勝ち残っていく構造になっていくでしょう。

現状においては、「WMSの目的はあくまでオペレーションの効率化で、その延長線上にマテハンやロボット活用による更なる効率化の実現がある」といった考え方が主流です。

しかし今後は、あらゆる業界で進んでいるデータの利活用が物流業界でも当たり前のように行われていく未来が必ず来ます。

その時に中枢を担うデータを持ち合わせているのは、間違いなくWMSになると言えるでしょう。

9.WMSがわからない・導入が不安な企業様。Rally Growthの「物流ITコンサルタント」に相談ください!

Rally Growth株式会社

WMSについてリサーチしていくなかで、

「WMSがどのようなものかはなんとなくわかったが、導入すべきかどうかを判断しかねている」
「予想以上に費用が高く、失敗した時のリスクを考えると導入に踏み切れない」

といったお悩みをお持ちであれば、物流DXコンサルティングサービスを手掛ける「Rally Growth」にご相談ください。

Rally Growthとは?
2021年に創立した、ミドルマーケットを中心としたDX化/新規事業構築支援を行う、ビジネスコンサルティングファームです。

代表の園田を中心に物流業界に知見のあるメンバーが集まっており、主に物流DXに関連する案件を中心に、複数の企業を支援しています。

 

Rally Growthの強み

強みその1.多数のWMS導入支援実績

Rally Growthでは、これまで多数の企業にWMS導入支援を行ってきました。
導入のハードルが比較的低いSaaS型やパッケージ型WMSだけではなく、一から開発するフルスクラッチのシステム構築支援を行った事例もあります。
貴社にとって本当に必要な製品はどれか、選定・提案させていただきます。

強みその2.豊富な知識に基づいた広い視点での企画・提案ができる

これまで物流の改善企画を数多く支援してきた経験から、

・一般的な物流の仕組み
・物流現場の実情
・物流システム
・マテハン

など、物流業界の幅広い知識を持っているのは、Rally Growthの大きな強みです。
「課題が多岐にわたっていて、何から手をつけて良いかわからない」という場合でも、広い視点での企画・提案ができます。

WMSの選定を含む、お客様の支援事例
【プロジェクト概要】

・業態:製造小売
・取扱製品:アパレル
・従業員数:約35,000人
・導入目的:基幹システム・マテハン・WMSを連携させ、超省人化を実現させる

【プロジェクト背景】

6階建ての延床面積約10万㎡という巨大な専用物流倉庫を建設した同社は、マテリアルハンドリングメーカーと手を組み、RFID(無線自動識別)や自動倉庫、自動搬送機などを取り入れたプロジェクトを発足しました。

【支援内容】

弊社も当プロジェクトに参画し、主に以下3つの支援をさせていただきました。
・新倉庫の構想策定
・マテハンの選定
・WMSの選定

最適なベンダーを探すべく、ベンダー選定に先立って多種多様なマテハンを活用したオペレーションの設計を行っていましたが、既存のクラウド製品ではマテハンとの連携はもちろん、同社の基幹システムとの連携も難しかったため、オンプレミス型かつフルスクラッチでのシステム構築に踏み切りました。結果として大規模な物流倉庫の立ち上げに成功し、今では日本最大級の省人化倉庫として日々稼働しています。

(その他のご支援事例)

エム・シー・ヘルスケアホールディングス株 新物流システム構想策定 ご支援後インタビュー

>>Rally Growthの支援事例をさらに詳しく見る

記事内で繰り返しお伝えしてきたとおり、WMSの導入には長期的にコストがかかり、総コストが数千万~数億円にのぼる可能性もあります。

多額の予算を割いてWMSを導入しても、機能を思うように使いこなせなければ、倉庫業務の改善に十分な効果を発揮させられません。

「WMSを導入すると決めたが、実際に契約するとなると候補を1つに絞れない」
「絶対に失敗したくない」

と考えている方こそ、まずはお気軽にお問い合わせください。

相談

以下よりRally Growthのサービス資料もご請求いただけます。

ご支援の全体像や具体的なご支援プランを掲載していますので、物流を中心としたDX支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。

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資料イメージ

10.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼WMSとは

倉庫内の物の流れをデータで管理し最適化するシステムのこと

・他システムやマテハン等の外部機器と連携し、倉庫全体の情報拠点としての役割を担う
・WMSを導入することにより、倉庫業務の効率化やミスの削減といった効果が期待できる
・SaaS・パッケージ型・フルスクラッチ型の3種類があり、導入費用や使える機能の自由度はタイプによって大きく異なる

▼WMSの機能

・基本機能:入荷管理・在庫管理・出荷管理・棚卸管理
・応用機能:外部連携・KPI管理など
※自社の業務に合わせてカスタマイズも可能関連記事:「WMSの機能を網羅解説!機能ごとのメリットや活用場面の例も紹介

▼WMSを導入するメリットとデメリット

【メリット】

・人為的ミスを削減できる
・作業を効率化できる
・業務が標準化され属人化を解消できる
・倉庫の保管効率が上がる
・在庫状況がリアルタイムで把握できる
・さまざまな外部システム・機器と情報連携できる

【デメリット】

・導入に時間とお金がかかる
・自社に合ったWMSを選ぶのが難しい
・新たな業務が発生して手間が増えるケースもある関連記事:「WMSの6のメリット|人手不足・情報管理に悩む現場は導入がお勧め

▼WMSの導入費用

【5年間稼働させた場合の予算イメージ】

・SaaS型:1,300万円~
・パッケージ型:数千万円~
・スクラッチ型:数千万~数億円
→多額の費用が必要となるため、専門家のアドバイスを仰ぎながら慎重に検討するのがベター関連記事:「WMSの導入費用はいくら?5年間利用した予算目安まで具体的に解説

本記事によって貴社のWMSに関する理解が深まり、製品選びの参考になりましたら幸いです。

この記事を書いた人
安孫子悠介

安孫子悠介

Rally Note編集長 &Rally Growth株式会社 取締役。 専門はBtoB営業とマーケティング。KPI設計を含めた営業戦略・営業現場改善や、コンテンツマーケ、CRM、サイトUX改善などデジタルに強み。

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